中国にとって2020年が波乱に満ちた1年だったと言ったとしても、それは控えめな表現だろう。2019年と2020年を通して、米国からの政治的制裁の猛攻に耐えてきた中国は、2020年の年明け早々に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行に見舞われた。
過去12ヵ月間において、金融市場で議論されるトピックは大きく変わった。論点はマクロ経済指標から、感染者数や入院患者数、ワクチン接種など、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)関連の問題へと移ってきた。
当月のアジア株式市場(日本を除く)は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のワクチンが世界的な景気回復をもたらすとの楽観ムードや米国の追加財政出動、中国の堅調な経済指標を追い風に着実な上昇を見せ、月間リターンが米ドル・ベースで6.8%となった。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、英国・EU(欧州連合)間の自由貿易協定合意を発表した際、英国の詩人T.S.エリオットを引用して「私たちが始まりと呼ぶものは、終わりであることがよくあります。ですから、終わらせることは始めることでもあります。終わりはスタート地点なのです。」と述べた。
12月の米国債市場では、イールドカーブがややスティープ化した。月末の米国債利回りは2年物で前月末比0.027%低下の0.122%、10年物で同0.075%上昇の0.915%となった。当月は、欧州(特に英国)におけるCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)感染者数の増加や米国の財政出動に関する不透明感をめぐって、投資家の懸念が強まった。
年の変わり目とは、マーケット解説者たちがしまい込んでいた水晶玉を取り出し、来る年の予言をする季節である。しかし、2020年を正しく予測できた者はいなかったであろう。2020年を発端とした出来事が世界に影響を及ぼし続けることは避けられず、2021年の予測の誤差をさらに高くしている。数え切れないほどの「来(きた)る年」の展望レポートは、2021年が2020年とは正反対になると予測している。いろいろな意味で、このような予測が当たることを願うばかりである。既承認、未承認を問わず、多くの新型コロナウイルス感染症ワクチンが、これまでに実施された臨床試験の結果と同様に、新型コロナウイルスの変異種に対しても効果を発揮することを願わずにはいられない。
2020年がパンデミック(世界的流行)の年として記憶されるのは間違いないだろう。金融市場の観点からはCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)はもはや古いニュースと考えたくなるが、ウイルスは経済見通しにとって依然大きなリスクを呈している。
2020年3月ごろに新型コロナウイルス感染拡大を抑える目的で導入した行動制限やロックダウン(都市封鎖)などの影響で世界的に株式やREITの価格が急落(以下、コロナ・ショック)した後、J-REIT市場(以下、REIT)は株式市場に比べて回復が遅れている。
1891年に開催されたシカゴ万国博覧会で使用された照明機器で交流の電流が使用された。その後まもなく、ナイアガラの滝のそばに建設された水力発電所で交流発電機が初めて採用され、電化の時代が幕開けした。当時、発電所から遠い場所で必要な時に電球を点灯できることは、神がこの世に光をもたらしたのと同じくらい奇跡的なことだった。そして、それはすべてテスラのおかげだった。
また四半期が過ぎたが、(英国では)依然として出張やオフィスでの会合が制限されている。筆者は空き時間を過ごすために、新鮮で面白い新作映画を探すものの結局見つからず、「ジェイソンボーン」シリーズなど自分にとっての定番物を鑑賞することに落ち着いてしまうことが多い。これらの映画が公開されて以降のテクノロジーの進化や、ハリウッド映画が描写するような人々の居場所を追跡する様子がいつの間にか誰にとっても現実となったことを目にするのは興味深い。その他にも面白いと思ったのは、次に何がやってくるか分からず、予想だにしない旅へと導かれることを魅力として強調する点だ。
2021年は大半のアジア諸国の国内総生産(GDP)成長率が堅調に回復し、アジア企業のファンダメンタルズが安定的ないし若干改善することに支えられて、今後数カ月の間はアジアクレジットのスプレッドが徐々に縮小すると予想される。
2020年は大半の人々にとっては忘れてしまいたい年であったであろう。しかし、新型コロナウイルス感染症が経済に与えた打撃が大きかったにもかかわらず、市場のパフォーマンスはかなり好調だった。豊富な流動性をもたらした大規模な金融・財政刺激策がパフォーマンスの最大の原動力であったとはいえ、短期的にはまだ楽観視できる状況かもしれない。金融システムに残る潤沢な流動性によって解き放たれるかもしれない繰り延べ需要を踏まえると、2021年以降はワクチンが普及するにしたがい需要が通常水準を超える可能性があるだろう。
2020年は、新型コロナウイルス感染症が引き起こしたパンデミックにより経済が急速に閉鎖され、一時的とはいえ、世界の経済活動が事実上停止するなど、市場にとって驚きに満ちた年であった。その結果、安全と言われる資産までも含め、金融市場のすべての資産クラスが極端なボラティリティを示した年になった。
2021年の株式市場を、日米それぞれの「コロナ・ショックからの回復」「さらなる上積みの可能性」の観点からみた上で、リスクを確認しよう。
2020年のコロナ・ショックは誰にも予想できなかったものの、回復の道筋は多くの市場参加者が昨年 4-6 月に想定していた通り進んだ。経済は新型ウイルスの新規感染者数の増加に左右されず、主要先進国は医療崩壊を避けつつ、行動制限をコントロールしながら生産活動を再開させ、国内消費の支援を続けた。その結果、非接触型関連を中心にモノの消費が回復し、一部の国ではサービス消費の回復もみられるようになった。
米国は、過去10年間の大部分において悪材料が最も少ない市場とみなされ、新興国を中心として世界の他の国々がそれまでの10年間における不均衡な過熱状態からの調整に苦戦するなか、米国のオーバーウェイトを維持してきた者は報われる結果となってきた。現在、米国はCovid-19(新型コロナウイルス感染症)の感染動向が最も深刻化している一方、各国による協調的な金融緩和によって米国以外の国々は成長に向かうリフレ環境がまさに生まれつつあるかもしれない。