2025年の米国経済は、財政出動が期待されるなか、プラス成長が続くとみられる。一方、インフレは依然として米FRB(連邦準備制度理事会)の目標を上回っており、米国債市場の混乱に伴うファットテールリスクが高まっている。
昨年の今頃、2024年はインド、メキシコ、南アフリカ、米国、英国など、世界各地で重要な選挙が行われる年になることは良く分かっていた。これらの選挙の多くでは、現職が政権を失ったほか、議席数で過半数を失ったり、有権者の大幅な支持を失ったりした。しかし、最も予想外の結果となったのは米国で、ドナルド・トランプ氏が勝利を収めた。
インフレの水準、経済成長の行方、消費者や企業部門の信用力、住宅市場、米国債の供給量、数々の選挙、地政学、さらには紛れもない株式市場のバブルなど、2024年における投資家の不安・懸念材料のリストは記憶にないほど長いものであった。2025年は投資環境が少しは良くなるだろうか。
プラスチック汚染は、環境、生物多様性、そして人間の健康に長期的なダメージを与える、世界的に重大な問題である。人々の認識が高まり規制が強化されているものの、プラスチック廃棄物は増え続けている。待望の「国際プラスチック条約」は2024年末までに最終制定される見込みだが、これはライフサイクルを通じたプラスチック汚染対策としては世界的な法的拘束力を持つ初めての試みとなり、大きな期待が寄せられている。
2024年も過ぎようとしているなか、資産市場のパフォーマンスを中期的に予測することがいかに難しいかを改めて思い知らされている。2024年を迎えたとき、多くの識者は依然として債券市場にとって追い風となる米国の景気後退が訪れると考えていた。
トランプ大統領の1期目の任期中において、中国株式市場は米国株式市場(S&P500)だけでなく、チャイナ・プラス・ワンの恩恵を受けたとみられるいずれの国・地域の株式市場もアウトパフォームした。歴史が繰り返されることはないかもしれないが、トランプ氏の2期目の大統領任期中に、中国の国内政策や市場環境が大きな要素となることは明らかである。
当月は大半の資産クラスにとってマイナス・リターンの月となり、債券と株式はともに下落した。グローバル株式市場はMSCI Worldインデックスで2%強、米国株式はS&P500指数で0.99%の下落となったが、企業決算への反応は好悪混合で、例えば「マグニフィセント・セブン」(Apple、Microsoft、Alphabet、Amazon、Nvidia、Meta Platforms、Tesla)のなかでは、AlphabetとAmazonが上昇する一方、Microsoftは決算が上振れしながらもフォワード・ガイダンスがネガティブに受け止められたため下落した。
当月の米国債は大きな売り圧力に晒された。米国経済の堅調さを明確に示すデータ、複数の米FRB(連邦準備制度理事会)高官によるタカ派的な発言の強まり、米国大統領選挙におけるトランプ候補の再選観測が逆風となった。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.53%上昇の4.17%、10年物の指標銘柄で同0.50%上昇の4.29%となった。
11月7日に行われた米FOMC(連邦公開市場委員会)において全会一致で決定された金融政策は、0.25%の利下げと事前に十分示唆されていた通りの内容となり、ニュースと言える情報の大半が見出されたのは、その発表後に行われたパウエル米FRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見だった。
投資家は何十年にもわたり、米国株式市場のリターンから米国債利回りを差し引いた分(いわゆる株式のリスクプレミアム)の過去の水準が、過剰なリスク回避度を示唆しているように見受けられる現象に困惑してきた。しかし、それと並行して起きていた同じくらい不可解なはずの現象に注目してきた投資家はほとんどいない。
米国大統領選挙において共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が選挙人投票で決定的過半数を獲得した。また、共和党は上院の過半数議席も確保しており、本稿執筆時点では下院選挙の開票作業が続いている。市場はすでに反応してボラティリティが高まっており、株式市場では、法人税のさらなる引き下げ観測の高まりが好感されたほか、産業全般の規制緩和を好む傾向が企業収益にプラスに働くと受け止められている。
9月の株式市場は、前月と同じく軟調なスタートとなった後に上昇に転じて、世界の先進国株式市場の月間リターンは1.69%となった。8月に発表された米国の非農業部門雇用者数が低調な結果となるなか、月初は同指標の発表を控えて投資家のあいだで労働市場の状態に対する懸念が広がり、世界の株式市場は下落した。
グローバル株式チームが日興アセットマネジメントに加わり、日興AMグローバル株式戦略を立ち上げてから10年が経つが、その間に世界は大きく変わった。2014年当時、気候変動に関するパリ協定は署名されておらず、グローバリゼーションは台頭し、ドナルド・トランプ氏と言えばテレビ番組で人気が出た有名人として主に知られていた。
市場では、米FRB(連邦準備制度理事会)による追加利下げが予想されており、これがアジアの各中央銀行に利下げ余地をもたらし、国内の経済成長にとって大きな下支えとなる。また、中国のさらなる景気刺激策が見込まれるなか、国内外から中国株式への資産配分ペースが加速して、市場全体が押し上げられると予想する。
中国本土の経済は低迷している。若年層の失業率上昇を受けて国内消費が冷え込んでいる一方、家計資産は大部分が不動産に投資されており、不動産価格の下落に伴って大きく目減りしている。コロナ後は、マクロ経済の回復の遅れや欧米との間で続く貿易摩擦が原因となって企業収益が落ち込み、国内株式市場は劣勢に立たされている。
米FRB(連邦準備制度理事会)は、金融界が注目するなか数年ぶりとなる利下げを実施し、0.50%の大幅利下げを行った。これを受けて、米国債利回りは全般的に低下し、短期債利回りがより大幅に低下した。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.28%低下の3.64%、10年物の指標銘柄で同0.12%低下の3.78%となった。
9月26日にグローバル投資委員会(GIC)を開催した時点で、米国の経済成長は底堅くも幾分鈍化するという第2四半期での当委員会の見通しは現実のものとなっていた。しかし、米国のEPS(1株当たり利益)成長率については、(堅調ながらも鈍化するというGDP成長率の見通しに沿った)当委員会の予想は市場予想に比べて若干保守的なままであった。
9月18日、米FRB(連邦準備制度理事会)は大方の予想通り利下げを実施した。(市場の予想は割れていたが)事前に一部で予想されていた通り、FRBによる利下げ幅は50ベーシスポイント(bps)となった。実際、9月17日時点では今回の50bpsの利下げ幅のうち41bpsしかFF(フェデラル・ファンド)金利先物に織り込まれていなかった。
8月は序盤に市場のボラティリティが急激に高まったものの、最終的にグロース資産は概ね上昇し、世界の先進国株式市場の月間リターンは2.51%となった。月初には日本株式市場を筆頭として世界の株式市場が大幅に下落した。TOPIXは1日で12%下落し、日次の下げ幅としては1980年代以降で最大となった。
米国の労働市場が急速に軟化している兆しや米FRBがハト派的な兆候を示したことを受けて、8月の米国債利回りは一段と低下した。7月の米FOMC議事録では出席者の「大半」が金融緩和を行う準備が出来ているとの見方をしていることがさらに示された。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.34%低下の3.92%、10年物の指標銘柄で同0.13%低下の3.90%となった。
当社では、アジア市場の中期的なファンダメンタルズの最大の変化は金利環境のシフトだとみている。労働市場の指標低迷やインフレ指標の沈静化が続くなか、FRBは間もなく利下げを開始すると予想されており、これがアジアに大きな影響をもたらすとみている。
転換と変貌を遂げつつある世界において、まさに変わることのない唯一のものは変化である。しかし、変化は機会と脅威をともにもたらし得る。こうした変化に投資家としてどう対応するかが長期的な成功にとって極めて重要であることは明らかだ。
2024年11月の米国大統領選挙が近づくなか、ドナルド・トランプ氏が2期目を確保した場合に生じ得る不確実性と機会に焦点を当てながら、アジア株式の観点からみた世界の貿易、経済、地政学的な影響を探る。
株式市場は7月も続伸した。しかし、当月は好調なスタートを切ったものの、ボラティリティが高まる兆しも見られ始めるなか月末にはそれまでの上昇分がほぼ帳消しとなった。企業業績見通しは良好に推移し、米国内では大半の企業の業績が市場予想を上回った。
8月13日、グローバル投資委員会(GIC)は臨時会合を開き、最近の不安定な市場動向の影響や、強まりつつある米国の成長鈍化懸念について改めて精査した。GICによる結論は以下の通り。