当社では長らくアセアンの株式市場を有望視しており、この地域は魅力的な展望を提供し続けていると考える。アセアンの成長と機会の背景にあるファンダメンタルズ面の原動力は必ずしも新しいものではないが、その活力溢れるトレンドに変わりはない。
景気減速が「そろそろ」やってくるとの一般的な見方に反して、米国経済は堅調な足取りを維持しており、債券利回りは景気の強さに応じて長期金利の再調整が必要という金融の現実を織り込み続けている。この調整は積極的かつ早急に進み、10月初旬にかけては節操のない展開になりつつあった。
9月の米国債市場は、利回りが上昇を続けるなかイールドカーブがスティープ化した。原油価格の上昇を受けてインフレが継続するとの懸念や高金利の長期化が、米国債市場低迷の主な要因となった。
日興アセットマネジメントでは、中国の低迷する経済と不調な不動産市場の全体像を把握するとともに、同国の様々な資産クラスへの見識を深めるべく、以下の債券・株式の専門家の見解をまとめた。
原油価格が1バレル=100ドルに迫り米国債利回りが16年ぶりの高水準に達するなかにあっては、投資家が発作的に守りの姿勢に入るのも無理はない。バリュエーションのばらつきは再び過去最高の水準に拡大しており、長期的な視点に立てば、アジア株式のリスク・リターン・バランスは魅力度を増していると考える。
今年はこれまでのところ、インドにとって重要な年となっている。3月、インドは第95回アカデミー賞において歌曲賞(アクション映画「RRR」)と短編ドキュメンタリー賞(「エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆」)の2部門で受賞するという快挙を成し遂げた。
米国債10年物利回りが2022年10月の最高水準である4.24%を超えて上昇するなど、市場は「高金利の長期化」を織り込みにいっており、グローバル株式を取り巻いていた熱いセンチメントは中立領域へと後退しつつある。
8月の米国債市場は、米国の経済成長が底堅く推移している兆しが強まったことや資金調達ニーズが高まっていること、格付け機関フィッチレーティングスが米国債の格付けを引き下げたことを受けて、月初に下落した。
域内の市場で中国の景気低迷に注目が集まるのは無理もないが、市場に広がっている懸念の影に隠れているものの、アジア地域には長期的に持続可能なリターンをもたらすポジティブな変化の機会が存在すると当社では考えている。中国が乗り越えなければならない問題は克服できないものではなく、システマティック・リスクや社会不安リスクにつながることはないだろう。
経済の車輪は前進を続けているが、これは、米FRB(連邦準備制度理事会)の翌日物金利誘導目標が2001年以来の高水準となる5.5%まで引き上げられていることを考えると、多くの人にとって予想外の状況と言えるだろう。
米FRB(連邦準備制度理事会)は、7月に開催した会合で0.25%の利上げを実施し、政策金利の誘導目標レンジを5.25~5.50%へと引き上げた。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.021%低下の4.88%、10年物の指標銘柄で同0.122%上昇の3.96%となった。
中国経済にデフレの兆候があるなか、このタイミングで同国政府が成長重視の指示を最近示したことは非常に歓迎すべき兆しだったと言える。こうした政策が実施されれば、構造的な変化につながり、消費者の景況感や中国経済の成長につながる可能性がある。
市場のポジショニングがよりポジティブな見通しへとシフトした一方で、マクロ経済の雰囲気は変わっていない。むしろ、株式市場への上昇圧力が根強く続いたことにより、投資家がベンチマークや同業者に大きく遅れを取らないよう株式エクスポージャーの再構築を余儀なくされた格好だ。
6月の米国債利回りは比較的狭いレンジで推移し、短中期部分がアンダーパフォームした。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.495%上昇の4.90%、10年物の指標銘柄で同0.193%上昇の3.84%となった。
アジアの大部分においてインフレ問題が落ち着くなか、利下げに動いた中国を除き域内の大方の中央銀行は足下で政策金利を据え置く一方、米国では経済指標が総じて多少軟化するなかでも依然として追加利上げが示唆されているが、当社ではそれ以上に中国の次の動きを懸念している。
最近、家族とともに行った2週間の中国旅行は、ある種の「帰郷」であった。飛行機、列車、自動車で(東洋の真珠と呼ばれる)上海、青島、合肥、銀川を巡り、外灘(バンド)として知られる絵のように美しいウォーターフロントの遊歩道で有名な上海へと戻った。
不動産投資信託(リート)とは、幅広い不動産セクターにわたり、インカム収入を生み出す不動産物件の所有や資金調達を行う上場法人である。投資家に分散投資効果をもたらすとともに不動産市場への直接投資に比べて必要投資額が小さいリートは、直接購入することなく不動産にアクセスできる素晴らしい手段となっている。
株価に反映された成長見通し格差は拡大し続けている。その背景として、テクノロジーやAI(人工知能)の発達という形での長期的な経済成長が市場全体の方向性を決定付ける材料として優勢な模様である。これは、テクノロジー・セクターが(そして理由は異なるが日本市場も)上昇する一方、他の大半のセクター・地域市場が月間で下落したことからも明らかだ。
機械学習の成長加速が始まるのに伴い、AIで先発優位性を有する大手テクノロジー企業やAIに特化したハードウェアおよびマイクロプロセッサのハイエンド・メーカー、なかでもアジアの企業が有利な立場にあると考える。
5月は米国債のイールドカーブが総じて上方にシフトし、月末の利回り水準は2年物の指標銘柄で前月末比0.397%上昇の4.41%、10年物の指標銘柄で同0.222%上昇の3.65%となった。
この27年間、筆者は毎日スコットランドのファイフとエジンバラのあいだを、地域の象徴となっているフォース橋を渡る小さな通勤電車で行き来している。この日課には馴染んだ心地よさがあり、これからの1日についてじっくり考えたり、帰路では慌ただしい資本市場への対応にまたもや追われた1日からの解放感に浸ったりすることができる。
先進諸国が引き続きインフレと経済成長の低迷に苦しむなか、アジアはインフレが十分に抑制されており、金融政策サイクルが欧米諸国に先駆けてピークを迎えているなど、その見通しの明るさが際立っている。
ヘルスケア・サービスや製品に対する需要に陰りはみられない。世界的に人口高齢化が進んでいる一方、糖尿病やがんなどの慢性疾患の発症リスクを抱える人が増加している。人々の寿命が延び、よりアクティブな人生を送っているなか、治療や予防のための保健サービスのニーズも高っている。
アジアの消費トレンドは、かつて欧米の影響を強く受けると考えられていたが、もはやそうではない。 アジアの消費者は多様な嗜好および影響力を持っており、世界のトレンドをただ吸収するのではなく、影響をおよぼし始めている。アジアのブランドは、この新しいパラダイムに良く対応できる状況にあると当社ではみている。
2022年初頭以降、インフレ・金利ショックから戦争・コモディティ・ショック、英国の年金危機、そして今回の米国の地方銀行危機に至るまで、市場を動かす重大な出来事が立て続けに発生してきた。こういった歴史的な出来事は、予想通り、市場センチメントと株価バリュエーションの重石となった。