事業会社のESG対応活動は、短期的にはコストが先行しがちなため、企業収益とはしばしばトレードオフの関係となります。そのため、ESG が要請する社会利益の創出と、運用会社にとって最も重要なミッションである顧客利益の最大化を如何に両立させていくか、そのことが我々の目下の課題です。
2022年6月までの12ヶ月間、アジアのクレジット市場は、信用スプレッドの拡大と米国債利回りの大幅上昇を受けて、トータルリターンが-12.8%となった。 同期間におけるアジアのハイイールド社債は、信用スプレッドの拡大が約2.91%に及んでトータルリターンのマイナス幅が30.4%に至った。
7月の米国債市場はイールドカーブがフラット化して長短金利が逆転した。米FRB(連邦準備制度理事会)は0.75%の利上げを行い、ECB(欧州中央銀行)も月半ばに市場予想を上回る0.5%の利上げを実施した。その後、ジェローム・パウエルFRB議長の発言と米国経済のマイナス成長を示したGDP(国内総生産)を受けて、米国債利回りは低下した。
新型コロナウイルスの感染拡大が始まって以降、景気サイクルの変動が激しくなったのに合わせて、市場ストーリーの変化も引き続き加速している。各国中央銀行は通常、景気サイクルの変動を抑えることを目指すものだが、今回はむしろ景気サイクルの変動を高めているかもしれない。
米国の足下のCPI(消費者物価指数)上昇率が前年同月比で9.1%と40年ぶりの高水準となるなか、米FRB(連邦準備制度理事会)は0.75%の利上げを実施した。また、米国の2022年第2四半期のGDP成長率が年率換算で前期比-0.9%となり、米国経済がテクニカル・リセッション(2四半期連続のマイナス成長)入りしたことが示されると、市場の懸念が強まった。こうしたなか、当月のアジア株式市場(日本を除く)は下落し、月間リターン(米ドル・ベース)が-1.2%となった。
2022年の債券市場が厳しい出だしとなったというのは、大方の一致した見方だろう。ロシア・ウクライナ戦争やインフレの世界的な加速、米FRB(連邦準備制度理事会)をはじめとする各国中央銀行による積極的な金融政策の引き締めといったネガティブな要因が重なって、市場のボラティリティが大きく高まったからだ。このような環境下、利回りは世界的に大きく上昇し、アジアも例外ではなかった。
電気自動車のテクノロジーは目覚ましい進展を遂げており、世界的に広がりをみせている。電気自動車の進展がより顕著になりつつあるなか、現在、運用会社はこのテーマを投資ポートフォリオに組み込んでいる。当社では中国が電気自動車の分野で世界をリードしていくとみている。
今後の経済に関する見通しは東洋と西洋のあいだで分かれている。アジア諸国は中国の政策緩和と追い風の景気特性から恩恵を受ける可能性がある。一方、欧米は成長鈍化と過剰インフレの泥沼に陥っており、今では中央銀行が需要を減速させる従来の手法でインフレを抑制しようと躍起になっている。
6月の米国債市場は利回りが上昇した。米FRB(連邦準備制度理事会)が0.75%の利上げを実施する一方、ECB(欧州中央銀行)は7月に資産購入プログラムを終了し利上げを開始すると発表した。米国ほか先進国の経済指標が発表されると、リセッション(景気後退)に陥るのではとの懸念が浮上した。
当月は、リセッション(景気後退)や前年同月比8.6%と40年ぶりの高い伸びとなった米国の5月のCPI(消費者物価指数)への懸念が、様々な国に波及的影響をもたらした。アジア株式市場(日本を除く)は、米国の複数の逆風材料を警戒するとともにインフレを域内共通のテーマとして下落し、月間リターン(米ドル・ベース)が-4.5%となった。
インフレの加速と世界的なリセッション(景気後退)の懸念をめぐる話題が絶えない今日、当社では、アセアンの成長復興を牽引すると強く確信しているテーマとして、電気自動車(EV)、デジタル化、旧来型工業経済の復活の3つを特定した。これらの広範で構造的なトレンドから最も恩恵を受けやすいと考える投資機会・分野について、本稿で考察してみたい。
過去2世紀にわたり、エネルギー革命はその後のテクノロジーにとって重要な大規模プラットフォーム構築に繋がり、世界中の富の創出や生活水準の向上を促してきた。このおかげで地球上の一人当たり生産量は、60人が昼夜働くことで成し遂げられる生産量に相当する水準まで拡大している。
当月のアジア株式市場(日本を除く)は、米FRB(連邦準備制度理事会)が指標となる翌日物金利を0.50%引き上げたものの、上海市が新型コロナウイルス関連の規制を解除するとの方針を発表したことが好感されて小幅に上昇し、米ドル・ベースの月間リターンが0.5%となった。
S&P500種指数のリターンが4月の初めから5月の第3週まで7週連続でマイナスとなったことを考えると、市場参加者が弱気一色となったのは驚くことではなく、リセッション(景気後退)が迫っているとの声が偶発的に高まっている。リセッションを2四半期連続のマイナス成長と定義すれば、これが(可能性が低いとしても)起こり得る話であるのは確かだ。
5月の米国債市場は、米国におけるCPI(消費者物価指数)インフレの鈍化、国内株式市場の下落、経済成長懸念の再燃を受けて利回りが低下した。月末の利回り水準は2年物で前月末比0.159%低下の2.559%、10年物で同0.091%低下の2.847%となった。
変化は、アジア市場においてより一般的かつ際立っている。その理解に努めることは、持続的リターンをもたらすために不可欠である。
当月のアジア株式市場(日本を除く)は、インフレや米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ幅が従来の予想を上回る可能性をめぐり投資家のあいだで懸念が広がるなか、下落して米ドル・ベースの月間リターンが-5.2%となった。
4月の米国債市場はイールドカーブ全体で利回りが上昇した。月初に公表された3月のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録がタカ派的な内容だったことをきっかけに、続いて総合CPI(消費者物価指数)上昇率が加速したことや米FRB(連邦準備制度理事会)のガイダンスがタカ派色を強めたことも、利回りの上昇を促した。
米FRB(連邦準備制度理事会)がインフレを抑制するために「必要なことは何でもやる」可能性を市場が織り込むなか、先行きにはますます暗雲が立ち込めてきている。現在のインフレ圧力は供給サイドの制約とエネルギー価格の上昇が主因となっている様相であることを考えると、FRBはその使命を果たすために経済をリセッション(景気後退)に陥らせることも厭わない姿勢を余儀なくされるだろうということになる。
海外移住者のなかには自らの出身国とのつながりをめぐるジレンマに直面する者もいるかもしれないが、シンガポール在住中国人の筆者は、母国とのつながりがなくなったと感じたことが一度もない。その一因は、進化しているインターネット技術によってタイムリーなニュースが配信されてくることや、中国最大のSNSである微博(ウェイボー)を使い続けていることにあるが、したがって、「中国の特色ある社会主義」は依然として筆者に影響を及ぼしており、筆者の存在意義の支えとなり続けている。
当月のアジア株式市場(日本を除く)は、ロシア・ウクライナ紛争が嫌気されたのに加え根強いインフレ懸念も重石となって下落し、月間リターンが米ドル・ベースで-2.8%となった。
3月の米国債市場は、米FRB(連邦準備制度理事会)がインフレ抑制への決意を示したことを受け、イールドカーブ全体にわたって利回りが上昇するとともに短期債が長期債をアンダーパフォームした。月末の米国債利回りは、10年物が前月末比0.514%上昇の2.341%となったのに対し、2年物が同0.902%上昇の2.337%となった。
中国経済について、目先の勢いの低下が懸念されている。まず、ウクライナ情勢の緊迫化に伴う原油価格の高騰が、原材料価格上昇による企業の利益率悪化と、ガソリン価格上昇などによる消費への悪影響を及ぼしている。しかし、石油・石炭は自国生産もあり、日本などと比べれば影響は小さいだろう。
安堵感からの相場上昇は常に心強いものだが、必ずしも暗雲が去って「正常な」市場環境に戻ることを示しているわけではない。市場は、①インフレを抑制するための中央銀行による一層の引き締め積極化、②コモディティ分野全体の供給ショックがもたらしているインフレ圧力の高まり、③ロシア・ウクライナ戦争そのものと大規模な対ロシア制裁措置による未知の波及効果など、先四半期に急速な展開を見せたかなり目まぐるしい一連の困難な材料を、まだ消化しきれていない。
3月22日、円が対米ドルで120円台に下落し、2016年2月以来約6年1ヵ月ぶりの円安水準となった。トランプ前政権時に105〜115円程度の幅で推移していた米ドル円がそのレンジ上限を超えるのは、「黒田バズーカ」影響下の市場環境以来であり、さらには、リーマン・ショック(2008年)以前のサブプライム・バブル時代を思い起こさせる水準である。