当月の米国債利回りは、複数の主要経済指標が市場予想を下回ったことを受けて、あらゆる年限で低下した。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.12%低下の4.76%、10年物の指標銘柄で同0.10%低下の4.40%となった。アジア域内の5月の総合インフレ率は、中国、マレーシア、タイ、シンガポール、フィリピンで加速する一方、インドネシア、インド、韓国でやや鈍化した。
最近、中国は世界のニュースの見出しに頻繁に登場するようになったが、その多くは特に明るい話題ではない。世界的な貿易障壁の高まり、銅からソーラーパネルに至るまでの中国産工業材料の余剰在庫増加、国内不動産市場の苦戦、消費者需要の鈍化などはいずれも中国株式市場の低迷要因となっている。
基本シナリオとして、大半の主要国でGDP成長率がプラスになるとみており、欧州を除く全地域でやや景気上振れのリスクがあると考える。この基本シナリオでは、米国と欧州でインフレが緩やかなディスインフレ傾向を伴いながらレンジ内で推移する一方、日本ではリフレが継続し、中国でもリフレが加速すると予想している。
中央銀行がインフレを抑制しながら世界的な景気減速を回避できる可能性が引き続き高まっているなか、市場は2024年に入って以降力強い上昇を続けている。米国ではインフレが市場予想を上回る水準にとどまっているが、個人消費と雇用に若干の軟化が見られるようになってきた。これを受けて金融引き締め環境の終焉が視野に入ってきており、米FRB(連邦準備制度理事会)は現在年内に1回の利下げを予想している。
欧米は景気サイクル後期にあり、バリュエーションが割高であるのに対して、アジアはサイクルの初期にあり、バリュエーションが割安となっている。このことは、世界の投資家に優れた分散の選択肢をもたらすだろう。
5月の米国債市場はボラティリティがやや高まった。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.162%低下の4.87%、10年物の指標銘柄で同0.181%低下の4.50%となった。アジア域内では、インフレ動向がまちまちとなった。また、マレーシア、インドネシア、韓国、フィリピンの各中央銀行は政策金利の据え置きを決定した。
日銀は6月の金融政策決定会合において大方の予想通り金利を据え置いたが、毎月の国債買い入れ減額にすぐ動くと見込んでいた市場参加者にとってはやや失望的な決定内容となった。そうした市場参加者のあいだでは買い入れ額が現在の6兆円から5兆~6兆円の範囲へ減額されると予想されていたことから、失望感が広がりドルが円に対して小幅に上昇した。
2024年のインド総選挙では、出口調査予測や市場予想に反して、ナレンドラ・モディ首相率いるインド人民党(BJP)が239議席しか確保できず、単独過半数に必要な272議席に届かなかった。前回の2019年選挙ではBJPが303議席を獲得していたことから、大幅に議席を減らしたことになる。
円安の進行を受けて、日本が世界における自国の購買力へのさらなる試練に対処できるかどうか、議論が高まっている。大半の購買力平価指標で見ると、米国で1ドルに相当する商品群は日本では100円未満となっており、ドル円レートは「公正価値」を示す当該尺度から大きく乖離している。
インフレの上振れにより米国で金利が近い将来引き下げられる可能性に疑問が投げかけられたため、市場ではボラティリティが再び高まっているようだ。米国が大幅な財政赤字を抱えながら好景気を維持しているなか、今や米FRB(連邦準備制度理事会)は市場が従来予想してきたほどの利下げを行えないものとみられる。こうなると、長期の米国債は多くのストラテジストが考えているほど魅力的ではない。
米FRB(連邦準備制度理事会)が緩和サイクルへの転換を先送りする可能性をめぐる懸念が強まるなか、4月は米国債が大幅に下落した。当月発表された経済指標に目を向けると、労働市場が堅調に推移したほか、インフレ率が市場予想を上回る結果となった。
市場環境はここ1ヵ月で大きく変化した。話題は米国の利下げから利上げの可能性へと変わり、中国株式市場は魅力的なバリュエーションと実効性のある政策実施期待が相まって大幅に上昇している。
11月に予定されている米国大統領選挙は長い影を落とし続けており、第45代大統領(ドナルド・トランプ氏)と第46代大統領(現職のジョー・バイデン氏)とのあいだで争いがヒートアップするにつれ、同国の分断は広がるばかりだ。このような二極化は投資の世界でも顕著で、特に厄介な論戦の的となっているのが、環境・社会・ガバナンス(ESG)報告に関する規制格差の拡大である。
大方の予想通り、日本銀行は政策金利の誘導目標を0-0.1%に据え置くことを全会一致で決定した。今回注目すべき変更点は、日銀が総合消費者物価指数(CPI)の見通しを前回時点の前年比2.4%から2.8%に上方修正したことである。
インフレの先行き不透明感はますます強まっており、米国債をはじめ先進国ソブリン債全般にとって不利な状況となっている。米国は非常に大きな財政赤字を抱えており、米FRB(連邦準備制度理事会)は、インフレ圧力が継続的な低下から上昇に転じる可能性が十分にあることから、今や利下げ時期の決定にあたって難しい立場に立たされている。
アジア全体の重大な焦点となっているのは、引き続き中国の経済および株式市場だ。中国の不動産セクターは、依然として脆弱である。しかし中国株式は、財政および資本市場の両方における追加支援策や市場期待の修正を受けて、2023年末から今年1月にかけて見られたパニック売りから回復している。
3月19日、日本銀行は他の先進国と同様に短期金利を主な政策手段とする従来の金融政策に戻った。ただし、金融市場は日本の構造的リフレへの道のりがまだまだ終わっていないことを認識している様子で、投資家は緩和的な金融政策環境が続く間はそれを最大限に利用していく用意があるようだ。
月初には主要中央銀行の声明などを受けて米国債利回りが大幅に低下した。発表された米国のインフレ指標が底堅さを示したことを受けて、ドットチャート(政策金利見通し)が上方修正されるかもしれないとの懸念が広がるなか、債券利回りは反転上昇した。その後公表された米FRB(連邦準備制度理事会)高官による最新の予測では、引き続き2024年内に3回の利下げを見込んでいることが示された。
スコットランドの中年男性(当チームのオフィスにも何人かいる)は悪意のないからかいの対象になりがちで、なかには言われてもしかたがないものもある。よく指摘される欠点の1つは、医者に診てもらうべきだという証拠が積み重なっているにもかかわらず、そうしようとはしないことだ。残念ながら、この「現実を直視しない」傾向は、向き合って対処していれば避けられたかもしれない悪い結果をもたらすことが多い。
日本銀行は3月19日に17年ぶりとなる利上げを実施したが、これに先立って発表された「メディア・リーク」がその役割を果たしたのは明らかで、マイナス金利政策、イールドカーブ・コントロール(YCC)およびETF購入の終了はことなく市場に消化された。
最近発表された日本の経済指標の1つに、私たちは目を見張った。3月4日に発表された2023年第4四半期の設備投資額は非常に堅調な結果となり、そのなかに日本経済の構造的な回復、日銀の言葉を借りればリフレの「好循環」の兆しの強まりを示す重要な点が見られた。
世界では製造業PMI(購買担当者景気指数)の好転が続き、韓国等の国々で輸出が回復するなど、製造業(在庫)のサイクルに弾みがつきつつあることが示唆されている。在庫補充の必要性は常であるものの、金融環境の緩和とリスク許容度の全般的な回復が発注の早期化を促進しており、これがサプライチェーンの再活性化に伴って自己増強される傾向にある。
蓋を開けてみると、3月上旬に行われたアメリカ大統領選挙予備選の「スーパーチューズデー」は決定的な結果となった。アラバマ州、テキサス州、カリフォルニア州でさらに圧勝を収めたドナルド・トランプ候補は、共和党大会での指名獲得のために確保した代議員数が1,000人を超え、唯一の対抗馬であったニッキー・ヘイリー候補を大統領選からの撤退へと追い込んだ。
中国株式は、バリュエーションが過度に売られすぎの領域にあることから、ある程度短期的な反発があるかもしれない。しかし、当社では中国の主な住宅分野の問題を解決し得る供給サイドの措置など、相場の上昇をより持続可能なものにする幾つかのドライバーについてモニタリングしている。
米国経済が引き続き底堅く推移していることを受けて、投資家のあいだでは米FRB(連邦準備制度理事会)の早期利下げ観測を修正する動きがさらに進んだ。月末の利回り水準は2年物の指標銘柄で前月末比0.411%上昇の4.62%、10年物の指標銘柄で同0.338%上昇の4.25%となった。