ETFの分配金とは?利回りが魅力のETF銘柄
- 最終更新日:2024年7月23日(公開日:2023年2月15日)
ETFの分配金
ETFは株式や投資信託と同じく、年1回以上決算をして投資家の皆様に分配金をお支払いします。ETFの分配金のもととなる原資は何か、また、ETFの分配金の仕組みはどうなっているのかについてご説明したいと思います。
ETFの収益
ETFは金融商品取引所に上場している追加型投資信託の一種で、株式や債券等に投資してその運用成果を投資家に分配する金融商品です。複数の投資家の運用資金を集めて運用会社が株式や債券に投資し運用するものです。では、その運用成果はどのようなものなのでしょうか。
インカムゲイン
インカムゲインとは、保有する資産から得られる収益のことで、配当金や利息・利金収入を言います。
【ETFが保有する株式】
株式会社は株式を発行して得た資金を元手にして事業を行い、収益を獲得します。その収益の一部を株式の保有者に利益還元として配当金を支払います。ETFは保有する株式から配当金を受け取ることになります。
【ETFが保有する債券】
債券は、ある意味、定期借入証書のようなもので、債券発行者は債券を買ってくれた投資家に一定のタイミングで借入利息にあたるクーポンを支払い、債券の期日(満期)に額面の元本を返還(償還)するものです。ETFは保有する債券からのクーポン収入がインカムゲインとなります。
【ETFが保有する現金】
残高は多くはありませんがETFが保有する現金に利息がつきます。
キャピタルゲイン
キャピタルゲインとは、保有する資産を売買することで得られる収益のことです。ETFが保有している株式や債券等を売買することによって得る売買差益を言います。投資対象が価格変動のある資産に投資をしていることによるものですが、益ではなくて損失になることもあります。
その他の収益
ETFは運用効率を高めるために、保有する株式や債券を貸付けて追加的な運用収益を得ることがあります。また、保有している株式に株主優待がつくことがあります。受け取った株主優待は換金できるものは換金していて、これもETFの追加的な収益になります。
以上見てきたように、ETFの収益にはインカムゲイン、キャピタルゲイン、その他収益があります。ETFの分配原資になるものは、利息・配当金相当の収益となっています。よってインカムゲインとその他収益からETFの内部でかかる経費(信託報酬等)を引いたものが分配原資となります。
上図はイメージです。
投資信託ではキャピタルゲインを分配することができますが、ETFでは分配することができません。これはETFが、基本、基準価額の変動を運用対象のインデックス(指数)の変動に連動させることを目的として作られており、キャピタルゲインを分配金として払い出すとインデックスに連動していないように見えてしまうためかと思います。
分配金を受け取る条件
ETFの分配金を受け取るには、ETFの決算日にETFを保有していなければなりません。このETFの保有ですが、受渡決済が済んでいる必要がありますので、買付約定が成立していても受渡が完了していない状況では分配金を受け取ることはできません。
権利付最終日/権利落ち日
上記の図にあるように、ETFの分配金を受け取るには、決算の2営業日前に買付がなされて決算日当日には受渡が完了してなければなりません。この日(決算の2営業日前)は分配金を受け取る買付ができる最終日なので「権利付最終日」と言います。決算日の1営業日前に買付をすると受渡決済が決算日の翌営業日なので分配金を受け取ることができません。決算日の1営業日前の買付は分配金が受け取れないので、当日の取引所売買の基準となる価格(基準値)は前営業日の引け値から分配金相当額(予想分配金額)だけ下がります。この日を権利落ち日と言います。
決算日(権利確定日)
計算期間、前回の決算日翌日から決算日までの期間を言いますが、ETFによって1年、半年、四半期、隔月、毎月と様々です。決算日はその計算期間(運用期間)の締め日にあたり、株式会社の決算日と同じです。ETFでは、この日に分配金額が確定し、保有している投資家に分配金が支払われることが確定する日になりますので権利確定日とも言います。
なお、ETFの決算日が休日にあたったとしても、投資信託のように決算日が翌営業日に動くことはありません。ここも株式会社の決算日と同じです。
ETFの分配金はいつもらえるのか
決算日から40日程度になります。
投資家が保有しているETFは、普通、証券会社の証券口座で保管されています。ETFの決算日に各証券会社はETFの保有者情報を証券保管振替機構に報告し(受益者確定)、その集められた保有者情報が受託銀行(信託銀行)に渡されて、源泉税徴収を受託銀行が行ったうえで、投資家の指定支払い先にETFの分配金が支払われます。この指定が無い場合は、ゆうちょ銀行及び郵便局で分配金を受け取る分配金領収書が受託銀行から投資家に送られます。このためETFでは決算日から分配金の支払いまでに40日程度と時間がかかってしまいます(投資信託では決算日翌営業日には分配金を受け取ることができます)。
日興アセットのETFの決算回数・決算日
現在、東京証券取引所に上場させているETFは37本あります。決算回数は年1回、2回、4回、6回、12回と様々です。次の表は日興アセットの東証上場ETFの決算日をマトリクスにしたものです。分配金を受け取るタイミングを考えながらETFを選ぶこともできます。
*2024年7月23日現在
分配金利回り(配当利回り)が魅力の高配当ETF
高配当を目的としたETFは、配当の高い資産(高配当株、利回りの高い債券、リート(不動産投資信託)等)に投資し、それらの投資対象から得られる利息配当金を分配原資としてETFの決算時に分配金として支払います。
なお、分配金利回りは受け取った分配金を投資した元本金額で除し、年あたりの%表示したものになります。
元本部分の価格変動の無い銀行預金とは違って、ETFが投資している株式、債券等は価格変動のある商品なので、ETFを買った値段によって分配金利回りが変化することになります。また、分配金額も変動します。このため分配金利回りを表示する場合、一定の前提を置いて計算したものになっています。日興アセットでは過去1年に支払われた分配金合計額を算出基準日の基準価額で除したものを表示しています。このためETFの購入価格、これから受け取る分配金額が、その計算前提とした分配金額と基準価額とは違うこと、実際の分配金利回りが違うということにはご留意ください。
分配金利回りランキング
日興アセットでは投資家の皆様のETF選択にお役立てていただけるように「比較的高い分配金利回りが期待できるETF」という特集ページを設けています。
ここに、本来、高配当を目指すタイプではないETFがランキングの上位に入ってくることがあります。ETFの決算前に、ETFにまとまった額の解約があると「分配金の濃縮化」という現象が起きます。ETFを解約するとき、元本部分をファンドから持ち出す形になってインカムゲインからなる分配原資をファンドに残し、決算時にその分配原資が払い出されるので分配利回りが高くなるのです。逆にETFの決算前にまとまった額の設定があると「分配金の希薄化」が起きます。
詳しくご理解されたい方は「コラム もっと知りたいETF No.2 分配型ETFは悪いファンド? 分配変動(希薄化と濃縮化)のコントロール ~上場高配当」をご覧ください。
まとめ
ETFの分配金、ETFの収益、ETFの分配金を受け取る条件、ETFの分配金はいつもらえるのか、分配利回りが魅力の高配当ETFについてご説明させていただきました。投資家の皆様のご参考になれば幸いです。日興アセットのETF、上場インデックスファンドをよろしくお願いいたします。
(以上)
ETFのキホンシリーズ
「ETFのキホン」シリーズでは投資家の皆様にETFを良く知っていただいて、より良く活用していただきたいとの思いで書かせていただいています。
STEP01ETFを理解する
STEP02ETFの種類を知る
筆者 ETFセンター
みなさまの大切な資産運用のために、ETFを少しでもお役立ていただけるよう、ETFに関する情報をお届けしています。