ETFの買い方は?初心者でもわかるETFの売買方法

ETFの買い方は?初心者でもわかるETFの売買方法

  • 公開日:2024年2月16日

今井 幸英

筆者 今井 幸英(いまい こうえい)
ETFセンター・シニア・アドバイザー

1985年4月 株式会社日本興業銀行入社。みずほフィナンシャルグループ(みずほ総合研究所、興銀第一ライフ・アセットマネジメント(現 アセットマネジメントOne))を経て、2006年12月 日興アセットマネジメント株式会社に入社、2008年8月よりETFビジネスに従事。2020年11月から現職。2012年、2013年 武蔵大学経済学部 非常勤講師、2014年 学習院大学経済学部 非常勤講師。長い運用商品開発の経験を活かし、ETFの開発、ETFビジネスの推進活動を行っている。

証券会社に口座を開設し、ETF投資をはじめるにあたって、ちょっと戸惑うことがあるかもしれません。今回はそんなETF投資(買うとき、売るとき)のあるあるをお話ししたいと思います。また、ETFの投資期間にも触れたいと思います。

まずは証券口座に買付に必要な資金が十分に入っていないと買付できませんので、資金がちゃんと入っているか確認してください。案外、資金が入っていなくて売買タイミングを逃がすようなことも起こりますのでご注意ください。

本記事は、以下のETFのキホンシリーズの一部です。
▼キホンシリーズのご紹介をスキップ

[今井監修]ETFのキホンシリーズ

「ETFのキホン」シリーズでは投資家の皆様にETFを良く知っていただいて、より良く活用していただきたいとの思いで書かせていただいています。


ETF投資(買い方(取引所売買))

ETFの買い方(取引所売買)の流れを整理すると以下のようになります。

ETFの銘柄コードを確認→ETFの取引単位を確認→ETDの買付代金を確認→注文方法を決める→その他の確認事項

まずは買うETFの銘柄コードを確認してください。国内ETFは株式と同じ4桁の英数字です。この英数字を間違うと、あるETFを買うつもりだったのに別のETFや株式を買ってしまうことが起こり得ます。

※2024年1月から銘柄コードに英文字が入るようになりました。(既存の銘柄コードは変わりません。)

当社のETFの銘柄コード

※当社ウェブサイトの商品ページの銘柄コード記載例

ETF一覧で当社のETFの銘柄コードを確認

取引単位を確認、買付代金を確認

東京証券取引所(以下、東証)上場の国内ETFの売買単位は1口、10口、100口、1,000口の4種類となっていて、銘柄によってまちまちです。
ちなみに取引所の価格は1口あたりの価格となっています。そのため買付にあたって最小限必要な金額を知るためには、売買単位と1口あたりの価格を掛け合わせることが必要です。

買付代金=売買単位×1口あたりの価格

なお、売買単位は整数倍になります。例えば10口の売買単位であれば、10口、20口、30口・・・となります。15口といった発注はできないこと(東証における売買の場合)にご留意ください。
また、実際の売買発注では、売買単位×1口あたりの価格に加えて証券会社に支払う売買手数料(消費税あり)が加わります。

※証券会社によって料金体系が異なり、一定の金額以下であれば手数料がかからない場合もあります。詳しくはお取引されている証券会社に問い合わせください。

 ETF一覧で当社のETFの売買単位を確認 ※スマートフォンでご覧の方は各商品ページでご確認ください。

注文方法(取引所売買)を決める(指値注文/成行注文)

ETFは株式と同様に指値注文成行注文の発注ができます。
このETFをある値段以内で買いたい場合や、値段は置いておいて、今すぐ、とにかく買いたいという場合があったりします。
自分のイメージした価格優先で取引したい場合は、指値(さしね)注文がいいでしょう。
一方、価格はいくらでもよいから、時間を優先して、売りたい・買いたい場合は、成行(なりゆき)注文を選択します。
このように、自身の希望に合わせて、取引の注文を使い分けることができます。


✓ 指値注文

「○○円(以下)で買いたい、○○円(以上)で売りたい」というように、指定した値段を限度に取引を執行する注文です。指定した値段かそれより有利な値段で約定できるのがメリットの一方、価格が予想と異なる値動きをした場合、約定しない(取引が成立しない)可能性があります。

指値注文

*上図はイメージです。


✓ 成行注文

「いくらでもよいから買いたい、売りたい」というように、値段の限度を指定せず、最優先呼値の注文と取引を執行する注文です。売買が早く、(ほぼ)確実に約定することがメリットの一方、思わぬ値段で約定する可能性があります。

成行注文

*上図はイメージです。



ちょっとした応用なのですが、指値注文と成行注文を合わせたような発注方法があります。例えば、現在の値段が1,000円で、東京証券取引所の売り買い注文を集約した板を見ると、1,000円の売り物が買いたい希望の数量には不足しているものの1,001円には十分な数量があり、1,002円以上には売り物がまばらだったとします。
このETFを1,003円までは買ってもいいと思っている場合、1,003円までの指値の買い注文を入れる方法です。成行で買いにいった場合、発注直後に1,001円の売りが他の投資家に買われたり、取り消された場合、約定が1,003円どころかそれ以上の値段まで買い上がってしまうことを予防することが可能です。

応用 指値注文と成行注文を合わせたような発注方法

*上図はイメージです。


あと指値の決め方ですが、株式やETFの売買に慣れない方はどうも指値を切れのいい値段(1,000円や1,100円など)にしがちです。実質的にはあまり意味が無いうえに売買が出来ないことにも繋がりますのでご留意ください。

以上の指値注文と成行注文は通常注文と呼ばれていて、逆指値注文というものがあります。
投資家が指定した価格以上になったら買付、指定した価格以下になったら売付の注文を発注するものです。買付の場合は、価格が○○円以上になったら指値または成行注文を出し、売付の場合は、価格が○○円以下になったら指値または成行注文を出します。指定した価格になったら予め登録した注文を発注することで、株価を見ながら機動的に売買できない投資家には便利な注文です。

その他の確認事項

✓ 取引市場(東京証券取引所/私設取引システム(PTS))

東証上場の国内ETFは通常は東証で売買が行われます。
一方、東証を経由せずにETF/株式を売買できる私設取引システム(PTS: Proprietary Trading System)があり、投資家の同意を得てですが証券会社によっては東証より有利な売買できる場合は東証ではなくPTSに注文を回送(SOR:Smart-Order Routingと言います)することがあります。現在、日本のPTSはCboe(シーボー)ジャパンとジャパンネクスト証券、大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)の3社があります。

✓ 注文の有効期間

注文は当日や発注した週内は有効など、期日が指定できます。

✓ 預り区分

証券口座にはNISA口座、特定口座(源泉徴収あり)、特定口座(源泉徴収なし)、一般口座があります。お取引の証券会社で複数口座を持っている場合は、売買の際に指定しないといけません。間違うと訂正、預け替えができない場合がありますので間違えないように指定しましょう。

ご参考:ETF(上場投資信託)の税金

ETF 投資(売買)タイミング

投資は投資対象を安く買って、高く売ることだと思われている方も多いかと思います。買い時、売り時を探してチャート分析を行なう方もいらっしゃいます。しかしながら、タイミングをとった売買を上手く行い続けることは困難と考えられています。ついつい安く買おう、高く売ろうと考えてしましがちですが、その値段差による金額の違いはどの程度意味があるのか見直しては如何でしょうか。
また、買おう、売ろうと思った時に、一時点ですべてを売買してしまうということもあるでしょう。しかし、保有しているETFを何回かの売買に分割するのもタイミングリスクを分散するということになりますので良いかもしれません。ただし、先程も触れた通り、タイミングを見極めることは非常に難しいことです。大事なことは、思ったことを実行することではないかと思います。2013年の新語・流行語大賞になった林修先生の「(いつやるか?)今でしょ!」です。

投資開始(買い時)

東証のETF取引時間は、月曜日から金曜日の9:00-11:30、12:30-15:00になっています。絶対ではありませんが、取引開始時間よりは取引終了間近の時間帯のほうが、取引が活発な傾向があります。値動きが激しいときに成行注文を出すと思わぬ値段で約定してしまうことがあり、避けるのが好ましいと思われます。指値注文の場合は、買いたい値段に注文を出しておくほうが、売買が成立しやすいかと思われます。

投資終了(売り時)

売りは買いの反対で、買い時でお話しした内容と同じになります。特に違いがあるものではありません。
取引所で売り買いの注文が集約されて表示される板を見たとき、売り注文が多くでていると需給で値段が下がりそうに思えてくることがあるかもしれません。しかしながら、発注をする人も総ての注文を出しているのではなく、板の上に見えているのは一部の注文だけという場合もあるので、冷静に立ち向かうようにしてください。

長期投資の有効性

昨今、長期投資の重要性が言われて、その考え方が浸透してきているように思われます。では、長期投資はどの位有効なのか考えてみたいと思います。

日経平均株価が1989年末に最高値(3万8,915円)をつけていますが、そこを起点として市場の引けに買って市場の引けで売ったとしたらどのような投資成果になっていたのでしょうか。
投資対象を日経平均株価より広く日本株をカバーする東証株価指数(TOPIX)を対象とし、①毎日、②1週間、③1か月、④半年(180日)、⑤1年(365日)、⑥3年(1,095日)、⑦5年(1,825日)、⑧10年(3650日)で売買したらどうなったかを見てみます。なお、実際の株式投資では配当が受け取れますので配当込みの東証株価指数(TOPIX)で見てみます

1990年1月1日(株価は1989年末)から2023年10月30日までの東証株価指数(TOPIX)の推移は以下になります。

1990年1月1日(株価は1989年末)から2023年10月30日までの東証株価指数(TOPIX)の推移

※データは過去のものであり、将来の運用成果などを約束するものではありません。

以下の表は起点を毎日1日ずつずらして、上記の①から⑧の期間で売買をした場合の結果です。なお、この数値には売買手数料と税金は勘案していないものになります。
長期投資はリターンが高くなる傾向が見て取れます。短期の売買は多く売買手数料を払うことになることからリターンはさらに下振れすることになるかと思います。しかしながら市場の展開によっては長期投資といえどもマイナスになっている場合もあることには留意が必要です。

①から⑧の期間で売買をした場合の結果

※データは過去のものであり、将来の運用成果などを約束するものではありません。
※実際の指数には、直接、投資できませんので、指数に連動する投資信託やETF、先物に投資することになります。概ね指数と同等の投資成果になることから、指数で計算されたデータを掲示しております。
※売買手数料、税金は考慮していません。

また、長期保有になると保有比率やそのメンテナンスも考える必要が出てきますが、「ETFの運用方法について」もご参考にしていただければと思います。

今回はETFの買い方、売り方(取引所売買)についてまとめてみました。
なお、海外上場のETFに関しては、東証上場の国内ETFとは違う取引制度と違うところがありますので、海外上場ETFのお取り扱いのある各証券会社にご確認ください。
私自身でも覚えがあるのですが、株式やETFといった価格が変動する金融商品に投資を始めたばかりのころは日々、またその時々の値動きが気になって仕方がありませんでした。そこで、自身の投資の目的を明確にして、文字に落としておき、それを見返すことによって市場の値動きによって気持ちが揺れることが少なくなるようになります。皆様も各自各様のありかたがあると思います。ぜひ工夫して実りのある投資にしていただければと思います。

(以上)

※当ページは、一部個人の見解を含み、会社としての統一的見解ではないものもあります。