COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミック(世界的流行)が公衆衛生、経済活動および金融市場に破壊的な打撃を与えたことは間違いない。市場は将来を見据える性質があることから、未知の致死性ウイルスのニュースが中国から世界の他の国々へと伝わると、資産価格はまず下落し始めた。
エジンバラでは、ロックダウン(都市封鎖)が5週目に入っており、外出が認められているのは運動を目的とした1日1時間のみだ。週にわたって、筆者はいつもこの1時間を朝一番の犬の散歩に費やす。これはもう何年にもわたって続けている日常の習慣の1つだが、以前は当たり前だと思っていたこの散歩が、最近の規制により1日のうちで非常に貴重な時間となっている。
財政政策の重要性について、コロナ・ショックの前後で社会の認識が大きく変わるとみている。米国など主要国がインフレと戦っていた1980 年代以降、選挙で選ばれる議員や大統領などは財政政策でインフレを刺激することを避けるようになり、インフレと戦うFRB(米連邦準備制度理事会)など中央銀行の役割が重要となっている。
オーストラリア全国で住宅ローンの救済措置や返済遅延容認などのニュースが報道されるなか、これがRMBS(住宅ローン担保証券)市場に与える影響をめぐり懸念が強まっている。しかし、RMBSは、事実が示唆する以上にリスクが高いとの悪評を受けることが多い。
新型コロナウイルスの世界的流行を受けた足元でのアジア・リート市場の急落により、長期投資家にとって、アジア最大級の「不動産経営者」へのエクスポージャーを得るための良好なエントリーポイントがもたらされている。
「財政が均衡していれば、経済は破たんしても良い」という考えが成り立たないことはすぐに分かるだろう。新型コロナウイルスの感染拡大防止のための行動制限による一時的な需要減で、収入がなくなる企業や個人の救済は、(国そのものの存在が脅かされる中で)財政出動により行われる。
3月の米国債は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的拡大による恐怖や不安が市場を覆うなか、月を通じて利回りが乱高下するボラティリティの高い動きを見せた。
当月はアジア株式市場にとって厳しい1ヵ月となり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的流行)と原油価格急落の影響によって市場が大きく下落した。
市場の下落は速さと深さの両面でかつてない規模となり、2月後半に最高値を更新したS&P500 指数は、その後約1ヵ月で34%下落することとなった。月末にかけては、市場は下落分の3分の1程度をなんとか回復したが、異例の市場ボラティリティに伴う混乱が落ち着き始めた今、問題はこの先どうなるのかということだ。
新型コロナウイルスの感染防止のための行動制限等により消費が蒸発したことなどから、世界の金融市場は大きなストレスを受けている。ただし、国・地域によりその度合いは異なり、先進国より新興国のストレスが高いとは限らない。
欧州社債市場は、2020年2月にスプレッドが直近の最低水準をつけて以来、大幅な下落に見舞われている。
4月7日、政府は事業規模108.2兆円の「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を閣議決定した。
新型コロナウイルスの世界的な拡大を受けて、これまで重視してきた「リーマン・ショックからの米国の雇用回復→賃金上昇→消費拡大→貿易拡大が世界に波及」という大きなトレンドは…
新型コロナウイルス感染症「Covid-19」の流行はパンデミック(世界的流行)となった。株式市場は下落相場に陥り、ヒトとモノの移動が世界規模で制限され、政府と中央銀行は大規模な財政出動と金融緩和を通じてそれぞれの国の経済を支援するという困難な任務を背負うこととなった。
1月に世界的な重要性を持つようになった新型コロナウイルス感染症(Covid-19)は明らかに金融市場を揺るがし、公衆衛生上の甚大な難題をもたらした。
2月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界経済への影響をめぐる懸念が強まり投資家心理が悪化するなか、米国債市場は上昇した。
3月23日時点、日米の金融市場は米国の8週間程度の活動自粛後の回復を想定している、と筆者は考えている。
エドウィナ・ブロックルズビーという名前や彼女の刺激的なストーリーについては数日前に初めて耳にした。エディーはイギリスを拠点に50年間ソーシャルワーカーとして働き、引退後はCEO、作家、トライアスロン選手に転じた。
バブル崩壊とウイルス感染では景気回復が違うはず
1月に下落したアジア株式市場(日本を除く)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的流行)不安を受けて、2月も引き続き売り圧力に晒された。
新型コロナウイルス感染症「Covid-19」の流行は、「ブラックスワン」イベント(市場において事前にほとんど予想できず、起きた場合の衝撃が大きい事象)の典型的事例となった。
新型コロナウイルスの感染拡大懸念から、世界の株式市場が揺れ動いている。
当月のアジア株式市場(日本を除く)は、コロナウィルスの流行が世界的な景気悪化を引き起こすかもしれないとの不安から下落し、米ドル・ベースのリターンが-4.5%となった。
本来であれば楽観視できたであろう経済成長見通しは、またもや困難に直面している。今回の障害はコロナウイルスの急速な感染拡大だ。
1月は、米国・イラン情勢の緊迫化を受けた地政学的リスクの高まりや新型コロナウイルスの流行をめぐる懸念が高まるなか、市場センチメントが低迷した。
製造業の底入れ、中央銀行による潤沢な資金流動性提供、そして世界中の景況感回復を促した米中貿易協定「第1段階」の締結を受けて、経済成長に回復の兆しが見え始めた。しかし、最近のコロナウイルスの流行により、今後数週間から数ヵ月に渡るまったく新たな難題がもたらされている。
新型肺炎(新型コロナウイルス)の感染がどの程度拡大し、経済にどの程度影響するかを予想することは難しい。
仮想通貨:ビットコインに代表される。これは、法定通貨または法定通貨建ての資産ではないので、通貨ではない。
12月のアジア株式市場(日本を除く)は、米国が月の中旬に予定していた中国製品への追加関税発動を見送り米中貿易戦争が休戦となったことを受けて上昇し、米ドル・ベースの月間市場リターンが6.7%となった。
2020年に日本は4つの懸念材料に直面するとみられている。それは、テクノロジー市況および中国経済の鈍化による悪影響、人口動態に関連する逆風、オリンピック後の「典型的」な景気の落ち込み、そしてコーポレートガバナンス改善に向けた取り組みの停滞である。
将来を完全に予想できる人がいないことを前提に、投資家はさまざまな証券に投資することが望ましい。仮にすべてを予想できるのであれば、もっとも良い(値上がりする)証券をひとつだけ買えばよい。
12月の市場センチメントは、米中間で暫定的な貿易協定が順調に1月に署名されるとの期待が高まったことから、ポジティブなムードとなった。
金融市場がいくつもの地政学的イベントを切り抜けることとなった昨年を経て、この新しい年は比較的平穏なものになってほしいとの願いは、年明け最初の週末を迎える前に打ち砕かれた。
日興アセットマネジメント(東京)は2019年12月27日、関連会社で深圳に拠点を置くロントン(融通)・ファンド・マネジメントと日興アセットマネジメントアジア(シンガポール)とを結び、中国の未来と投資を考えるコンファレンスを開催した。
米中間の「第1段階」の貿易合意をめぐる楽観ムードや両国の経済指標の好調さなどを受けて投資家心理が大幅に改善するなか、2020年を控えて世界のリスク資産は概ね好調に推移している。
2020年のグローバル・クレジットについては楽観的な見方をしており、スプレッドは安定的に推移または小幅に縮小すると予測している。
中央銀行の政策ミスと政治面の不透明感という2つの組み合わせは、それまでの約10年間にわたるグローバル株式市場の強気相場を2018年末までにあやうく終わらせるところだった。
上記は、地球の真裏にある国チリで抗議の行進で使われていたプラカードに記されていたスローガンだ。これほど強烈な内容ではないが、現在の投資環境は、ただでさえ低い金利がさらに低下し、インフレ率が低位に推移し、そして経済成長率が低迷しており、このスローガンは現在の投資収益率見通しにも当てはまる。
投資は決して簡単ではない。国内政治や国際関係が深刻な分裂状態にあるなかで、それらの先行きを予測することが極めて重要である今日では、尚更と言える。
新興国債券市場のパフォーマンスは2年にわたって良好に推移した後、2018年に低迷したが、これは多くの投資家にとって想定外であった。
2019年は、ほとんどのアジア諸国の中央銀行が金融緩和政策を採用したおかげで、アジアの現地通貨建て債券は力強いラリーを見せた。
アジア諸国のマクロ経済環境は引き続き安定している。GDP成長率は中国や香港を筆頭に伸び率が鈍化する可能性があるものの、政策面での追い風があることおよびデフォルト率の上昇が世界平均と比較して緩やかとなっていることが、2020年のクレジットのパフォーマンスを下支えするだろう。
2020年の世界経済は、低成長率とはいえ健全さを保つと考える。2018年に2016年の低迷からの反動で比較的高い成長を実現した先進国は、2019年に減速した。
11月の米国債市場は、貿易面での楽観ムードを受けて月初に利回りが上昇した。
11月も引き続き、米中通商協議の一進一退と両国による通商協定「第1段階」の合意期待に市場のムードが大きく左右された。
1年前、市場は崩壊状況にあったが、これはクリスマス休暇を迎える時期としては異例であった。2018年12月には貿易戦争が休戦に入るとともに米FRB(連邦準備制度理事会)が幾分ハト派色を強めたものの、市場は世界的なリセッション(景気後退)を急速に織り込んでいった。
当社ではボトムアップによる銘柄選択の観点から、中国株式に対して楽観的な見方を維持している。米中貿易戦争に関する地政学的な懸念が引き続きボラティリティを高める可能性がある一方で、当社では政策が追い風となる株式、内需主導型の力強い収益性を持つ株式、クオリティーの高い事業を持つ株式に引き続き注目している。
2019年は、ほぼすべての資産クラスが高リターンを達成した年として振り返られることになりそうだ。その原動力となった要因としては、各国中央銀行が金融政策を急転換してハト派的な姿勢を強めたことに加え、世界的な景気後退懸念が和らいだこと、米中間の貿易合意間近との期待が高まったことなどが挙げられる。
日興アセットマネジメントのグローバル株式チームでは、投資哲学の中心を企業における「フューチャー・クオリティ」の探求に置いている。
2019年の世界や日本のマーケットは、2018年末にあった景気後退懸念の払拭から始まり、総じて好調だった。
政府は大型の経済対策(事業規模26兆円程度、財政支出13.2兆円程度)を閣議決定しました。
10月は、中国と米国が貿易協定の「第1段階」について暫定的な合意に達したとのニュースを受けて、市場のリスク・センチメントが一段と改善した。また、ハード・ブレグジット(英国がEU離脱を同連合との合意なしに強硬的に行うこと)の確率が低減されるとともに、米FRB(連邦準備制度理事会)が予想通り今年3度目となる利下げを実施した。このような環境下、米国債は最終的に利回りが上昇し、10年物が1.69%で月を終えた
10月のアジア株式市場(日本を除く)は、米中貿易協定の部分的合意への期待が高まったこと、米FRB(連邦準備制度理事会)が0.25%の追加利下げを実施したことが追い風となり、勢いを増して続伸した。
世界金融危機後の期間における米国経済のパフォーマンスが素晴らしいものであることは間違いない。10年の景気拡大期において、2015年第2四半期に4%でピークをつけた年間実質GDP成長率は平均が2%を超えた。
株価指数の行方について考えるとき、経済予想との関係についても知っておきたい。市場を経済全体で語るのであれば、GDPと株価指数はどのように関係しているのか、ざっと理解しておく必要がある。
2017年に開催された中国共産党第19回全国代表大会で、習近平国家主席は「中国は世界への扉を閉ざすことはなく、市場開放を進めるのみである」と述べた。
いまでも「新興国(エマージング)」は、米国金利が上がっても下がっても、原油や資源価格が上がっても下がっても大丈夫なのか、などと質問を受ける。
米中貿易戦争は8月に入って激化し、2大経済大国による報復関税発動の応酬は制御不能の様相を呈した。しかし、最近になって米国政府と中国政府が休戦に合意したことにより、ここ数週間で新興国を含む世界市場の見通しは著しく改善している。
9月の米国債市場は、投資家のリスク選好意欲が再び高まったことから利回りが上昇した。当初、米中貿易問題における展開をきっかけとして回復したリスクオン・ムードは、その後、世界の主要中央銀行が追加金融緩和を実施したことで支えられた。
10月9日から11日にかけて米国ワシントンを訪問し、国際機関や米国政治の専門家などとミーティングする機会を得た。対話内容の詳細について述べることはできないので、以下では、筆者の意見として記す。
9月のアジア株式市場(日本を除く)は、前月の急落から回復を見せてポジティブなムードで月を終え、月間リターンが米ドル・ベースで1.7%となった。
世界金融危機後の期間における米国経済のパフォーマンスが素晴らしいものであることは間違いない。10年の景気拡大期において、2015年第2四半期に4%でピークをつけた年間実質GDP成長率は平均が2%を超えた。
債券はバブルか?という質問に直接答えることは難しい。ただし、現状の低金利状態について、ひどく悲観的な経済成長率予想が背景にあるとは思えない。その意味で心理的な酩酊状態から来るバブルとは呼べないのではないか。
トランプ米大統領の弾劾調査が、野党・民主党が多数派である下院で行われる。内部告発者は、米大統領がウクライナ大統領との電話協議において、2020年の米大統領選挙で自分が有利になるような発言を行ったことが法的に不適切だと考えた。
8月の米国債市場は価格が上昇した。月初は、米中間の貿易をめぐる緊張の高まりと人民元の下落を受けて、リスク資産市場が概して下落した。
8月のアジア株式市場(日本を除く)は、一時的な休戦状態にあった米中貿易戦争が再燃し両国が新たな追加関税合戦を繰り広げるなか、月間リターンが米ドル・ベースで-4.4%となった。
2017年7月、2018年9月に続きフランスを訪問し、PRI(Principles for Responsible Investment、責任投資原則)のコンファレンスへの参加、さらにフランス政府の国債庁でヒアリングする機会を得た。
市場は常に多くの相反する見方を生み出してきたが、8月は特に乖離の大きい展開が見られ、債券では利回りの急低下が世界的な景気後退を予言している様相となる一方、株式は比較的良好な見通しを映し出した。
円高を恐れる投資家の声をよく聞く。一方で、そもそも円高とは何か、円高は悪いことなのか、との質問もいただく。
株式や債券など、複数の資産を組み合わせる時に金を含めることがある。この場合、できるだけ保有資産全体のリスクを減らし、安定的なパフォーマンスを目指す目的で利用されることが多い。
新興国市場の資産価格を左右する主な材料として、外部環境が国内のファンダメンタルズを圧倒することはよくある。足元では、外部金融環境の緩和が新興国市場に追い風を起こしている。今回、不確実要素となっているのは断続的な貿易戦争で、これが今やサプライチェーンを変化させており、この影響は貿易協定が締結されるか否かにかかわらず今後も継続すると考えられる。
7月のアジア株式市場(日本を除く)は利食い売りが先行して下落し、月間リターンが米ドル・ベースで-1.8%となった。域内の経済および製造業指標・統計が事前予想を下回ったことに加えて、世界経済の鈍化懸念が高まったことが、アジア株式の重石となった。
7月は、好調な米国経済指標を受けて、将来予想される米FRB(連邦準備制度理事会)の利下げの度合いに対する市場の期待が後退したことに伴い、米国債利回りが上昇した。
今年、市場の注目が集まっている問題は、米中貿易交渉と米FRB(連邦準備制度理事会)の政策の2つだ。貿易戦争に関しては過去数ヵ月にわたって幾度となく言及してきたので、今回はFRBの政策、特に同中銀の独立性について考えを述べてみたい。
7月29 日~8月2 日に、ドイツのフランクフルトとデンマークのコペンハーゲンを視察する機会を得た。各地で中央銀行(ECB(欧州中央銀行)とデンマーク国立銀行)や民間エコノミストなどの見方に接したが、以下の内容は、筆者の総合的な感想としてお伝えする。
EU(欧州連合)の銀行規制は、関わる利害関係者の数が多く、一方からは欧州議会および欧州委員会が、もう一方からは各国の議会および規制当局が力を及ぼそうとする結果、非常に複雑なものとなっている。
先日、FRB(米連邦準備制度理事会)が10年半ぶりの政策金利引き下げを行うなど、世界的に低金利環境が続きそうだ。その中で、REIT(不動産投信)の相対的魅力が注目されている。まずは、REITの商品性を知ることが重要だ。
先日、ICGN(International Corporate Governance Network)の総会が東京で行われ、パネル討論のセッションに参加した。パネル討論では「グローバル化が進む日本:スチュワードシップ・エンゲージメントを効果的にする-グローバル、ローカル、文化間の観点から」という趣旨の議論を行った。
6月のアジア株式は、米FRB(連邦準備制度理事会)による利下げ期待や米中間の貿易交渉再開が支援材料となり、リリーフ・ラリー(安堵感からの相場上昇)を見せた。
最近の報道で、「予防的利下げ」という言葉を聞く機会が増えた。今回は、何が予防的で、何が投資に関係あるのか、について考えてみる。結論は、長期投資する前提では、サイクルに関与するだけでしかない中央銀行の政策についてあまり気にする必要はないと考えている。
当月は月を通じてリスク選好度が強まる展開となったが、その背景にあったのは、G20大阪サミットにおけるトランプ大統領と習国家主席の首脳会談によって米中の貿易協議が軌道に戻るとの期待の高まりだった。
6月の米国債市場は価格が上昇した。月初、経済指標が雇用拡大ペースの減速を示したのに加え、貿易に関して悲観的なムードが広がったことから、米国債利回りは押し下げられた。
オーストラリアのRMBS(住宅ローン担保証券)は、一貫したインカム創出を伴う高格付け資産である。この証券を目にした時にすぐに思い浮かぶ疑問は2つある。どれくらいのリスクがあるのか、そしてどのようにプライシングされるべきかということだ。
G20大阪サミットを機に米中首脳会談が行われ、米国による対中制裁関税第4弾の発動が先送りされたことで、市場に安心感が広がった。さらに、米国企業によるファーウェイへの部品販売を一部容認する姿勢を示したことから、テクノロジーに関する米中覇権争いの緩和期待も膨らんでいる。
5月上旬、市場の信頼感は急速にパニックへと転じた。トランプ米大統領が5月10日正午までに中国からの輸入品(2,000億米ドル相当)に対する関税を10%から25%へ引き上げると警告して(またしても)世界に衝撃を与え、間近と思われた貿易協定締結への期待が打ち砕かれたからだ。
アジア株式は、4ヶ月連続でプラス・リターンを記録していたが、その上昇基調が米中貿易問題の激化を受けて5月に突如途絶えた。
弊社オーストラリア拠点のオーストラリア債券運用担当のJohn Sorrellが来日したのを機会に、オーストラリア、特に豪ドル(対円)について考えた(以下は筆者の意見であり、特に断りがない限りSorrellの意見でも弊社の公式見解でもない)。
5月、米中貿易緊張がエスカレートするなか、米国債は買われた。貿易に関するネガティブなニュースや米国、日本、ドイツの低調なPMI(購買担当者景気指数)が、米国債利回りを押し下げた。
これまで、たびたびイールドカーブの逆転が言われてきた。イールドカーブとは、債券の利回りと残存期間に対応する点をつないだ線で、利回り曲線のことだ。通常、残存年数が長いほど金利は高くなるが、短いほど金利が高くなると「逆イールド」と呼ばれる。
米国の未来学者レイモンド・カーツワイル氏は相当に頭脳明晰で、未来予測の精度が80%を超えるという驚異的な実績を持っている。運用パフォーマンスが第1位四分位に入るファンド・マネージャーでも、65%の確率で予測が当たれば万々歳だということを考えれば、尚更そのすごさが分かるだろう。
金は貴金属として古来から人々に好まれている。さらに腐食などがないため、価値の“貯蔵”としても利用されてきた。長らく通貨としても利用され、現在も世界の中央銀行が資産として保有している。
4月のアジア株式市場(日本を除く)は、米国や中国の経済指標が市場予想を上回る内容となったこと、世界的にリスクセンチメントが落ち着いたこと、米FRB(連邦準備制度理事会)がハト派的な姿勢を強めたことが支えとなり、米ドル・ベースのリターンが1.9%となった。
5月上旬、市場の信頼感は急速にパニックへと転じた。トランプ米大統領が5月10日正午までに中国からの輸入品(2,000億米ドル相当)に対する関税を10%から25%へ引き上げると警告して(またしても)世界に衝撃を与え、間近と思われた貿易協定締結への期待が打ち砕かれたからだ。
米中貿易交渉は当初順調に見えた。昨年末、トランプ政権が2,000億米ドル相当の中国からの輸入品目への関税率を10%から25%に引き上げることを延期し交渉に臨んだ時点では、近々にトランプ米大統領と習近平主席の握手が見られそうだった。
4月の米国債市場は利回りが上昇した。当初、利回り上昇を引き起こしたのは、米国の堅調な雇用統計と欧州の一部における鉱工業生産の回復だった。
2019年に入ってから当社が注目してきた重要なテーマは、新興国がそれまで直面してきた逆風の追い風への転換であった。具体的に言うと、米中通商交渉の進展、米FRB(連邦準備制度理事会)のハト派転換、中国の成長回復、そしてこれらすべてが追い風となってもたらされるドルの(下落とはいかないまでも)安定化とそれに伴う成長の裾野のさらなる拡大だ。
2019年第1四半期のグローバル株式市場のリターンは12%と、四半期としては10年近くで最も良好なパフォーマンスとなった。グローバル・ソブリン債も同様に良好なパフォーマンスを示し、為替ヘッジ済み米ドル・ベースのリターンで3%と「安全資産への逃避」が見られた前四半期さえも上回った。
4月から日米間で通商に関する交渉が本格化したが、交渉は日本にとって厳しいものになるとの見方も出ている。
3月は、先進国の中央銀行が明らかにハト派に転換したことから、世界的に債券高となった。米FRB(連邦準備制度理事会)が急激にハト派化したことをきっかけに、米国債市場もイールドカーブ全体にわたって急上昇した。
3月のアジア株式市場(日本を除く)は米ドル・ベースのリターンが1.7%となった。しかし、域内ではリターンにばらつきが見られ、インドと中国がアセアン諸国をアウトパフォームした。