アジア株式市場(日本を除く)は、米国の経済指標が景気の加速を示したことを受けてインフレ懸念や米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げペース加速観測が高まるなか、米ドル・ベースのリターンが-5.0%となった。
2月の米国債市場は、同国の経済指標が景気の加速を示したことから一段と売り込まれ、イールドカーブ全体にわたって利回りが上昇した。
当社の2018年の市場展望において、先進諸国の中央銀行が大規模な緩和策を徐々に解除するにつれ、ボラティリティが高まるとの見解を示したが、ボラティリティが過去数週間ほどの猛烈な急上昇を見せると想像していた者はほとんどいなかっただろう。
2018年1月5日付KAMIYAMA Reportsで「初夢:2018年は居心地の良い環境」で述べたが、2月に入って居心地の良さが失われ、「インフレだけが進行してしまう懸念の高まりが債券を売って現金化する動きにつながり、債券からの急激な資金逃避が起こる場合は注意が必要だ」と書いた部分が重要になってきた。
2018 年は、基本的に景気が順調に拡大し、株式にとって良い年になるとみている。金利は緩やかな上昇となり、クレジット・リスクの改善期待から社債投資などにも良い環境となろう。
1月のアジア株式市場(日本を除く)は、堅調な経済成長や企業収益をめぐって楽観ムードが広がるなか、米ドル・ベースのリターンが+7.6%となった。アジア諸国の通貨は概して対米ドルで上昇した。
1月は、原油価格が一貫して上昇したこと、また先進国の中央銀行が金融緩和措置の巻き戻しを始めるとの憶測が広がったことから、米国債利回りが急激に上昇した。
過去数年間、当社マルチアセット・チームが懸念してきた主要リスクの1つは、資産クラス全般が正相関を示すようになる可能性であった。
12月のアジア株式市場(日本を除く)は米ドル・ベースのリターンが+2.7%となり、新興国を含むグローバル株式市場(リターン+1.4%)をアウトパフォームした。
広く予想されていた通り、米FRB(連邦準備制度理事会)は12月、政策金利を0.25%引き上げて年内3度目となる利上げを実施し、また2018年のGDP成長率予想についても上方修正した。
2017年2月21日付のKAMIYAMA Reports 「REITを通じて不動産に投資する意義」では、①REITだからこそできる不動産投資の機会、②不動産への投資と不動産開発会社への投資の違い、③金利上昇すなわちインフレ期待の上昇と、不動産価格ひいてはREITとの関係、について述べた。
最近の訪中を振り返って
1月8~12日に中国北京市を訪れ、銀行、自動車、インターネット企業などに加え、中国経済・市場の専門家や学者から、中国の経済改革および成長戦略などについて幅広くヒアリングする機会を得た。
2018年の最大の注目は中国だ。実は、中国は「突発的リスク」にも「テクノ冷戦の世界的拡がり」にも関係している。さらに、よくみると保護主義2.0 やアジア南部、アフリカとも無関係ではない。
2017年は、米国中心の消費回復による貿易拡大が世界に伝播しはじめ、資源国や新興国市場は資源価格の安定を背景に安心感が広がった。
11月のアジア株式市場(日本を除く)は、米ドル・ベースのリターンが+0.6%となった。同市場の代表的なインデックスは、米FRB(連邦準備制度理事会)による現行政策スタンス継続への期待と経済指標の堅調さを受けて、月中に10年ぶりの高値に近づいたが、月末にかけては、構成比率の高いテクノロジー銘柄が売り込まれたことで、それまでの上昇分が相殺された。
11月の米国債市場は下落した。月の初めは、米FRB(連邦準備制度理事会)の次期議長にジェローム・パウエル理事が指名されたことが好感され、債券利回りが低下した。
2017年10月の共産党大会後、習近平政権の体制強化が明確になった。その後、金融引き締めバイアスが一段と鮮明になったことから、2018年の中国経済の成長率は減速するという見方が強まっている。
日本の財政は、世界的に見て良い状態ではない。しかし、国が返済を先延ばししたり踏み倒したりして、国債を保有する投資家が損失をこうむる可能性は大変低い。
10月のアジア株式市場(日本を除く)は米ドル・ベースのリターンが+4.7%となり、新興国を含むグローバル株式市場(リターン+1.9%)をアウトパフォームした。
過去2年、アセアンには中国からの海外直接投資による資金流入が大幅に増加している。当社はこの傾向が続くものと予想しており、中国がアセアン地域に対して(経済面でも地政学面でも)及ぼす影響は、時と共に拡大していくことになるだろう。一方、中国の海外直接投資の台頭はアセアンにとって、インフラ開発や更なる市場開放といった分野を中心に、多大なる恩恵をもたらす。
10月の米国債市場は下落した。共和党が提出した2018 年度予算決議案が米国上院で可決されたことを受けて、経済成長率およびインフレ率の上昇見通しが強まった。
日経平均株価が30,000円になることを、日本のGDP成長と、企業の利益成長とその質(効率)改善の観点から想定し、到達するであろうタイミングを、期待が変化する情報の流れを考慮して考えてみる。
10月30~31日にインドの首都デリーを訪れ、いくつかの社債発行企業からヒアリングする機会を得た。まず、インドの経済・金融市場の概況についてだが、2017年4-6月期実質GDP成長率は前年同期比5.7%増となり、伸び率は低下傾向にある。
11月1 ~3 日に中国深セン市と香港を訪れ、当社が出資しているロントン・アセット・マネジメント(融通基金管理有限公司)の中国市場専門家から、経済動向などについてヒアリングする機会を得た。
アジア地域における力学のシフトを考慮し、アジア株式へのアロケーションを新興国と先進国に分けるという選択肢もある。
9月のアジア株式市場(日本を除く)は米ドル・ベースのリターンが▲0.1%となり、新興国を含むグローバル株式市場(リターン+2.2%)をアンダーパフォームした。
9月の米国債市場は下落した。米FRB(連邦準備制度理事会)の12 月利上げ観測や、トランプ政権の税制改革法案が議会で可決される可能性が下落要因となった。
10月24日、第19回共産党大会(19大)は、党規約の行動指針に習近平を冠した政治思想を盛り込むことを採択して閉幕、習近平体制が強化されることになった。これを「皇帝化」したとみるだけでは不十分だ。政治の安定は、経済政策の強化のためにあったとみる。
9月25~29日に米国を訪れ、MLP 数社にヒアリングする機会を得るとともに MLPA(MLP 協会)年次総会のセミナーに参加した。MLPはあまり知られていないが、大変興味深い投資対象なので、まず商品性から紹介したい。
8月のアジア株式(日本を除く)は米ドル・ベースの市場リターンが1.3%と、新興国を含むグローバル株式市場をアウトパフォームするとともに、8ヵ月連続のプラス・リターンとなった。
8月は米国債市場が小幅に上昇した。北朝鮮情勢が緊迫化したことや、米FRB(連邦準備制度理事会)とECB(欧州中央銀行)が今後の金融政策の方向性を示さなかったことから、米国債利回りに低下圧力がかかった。
9月24日、ドイツ連邦議会選挙の結果、メルケル氏率いる与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が第一党を維持した。
新興国に投資する場合、中程度(ある程度の投資可能な市場)に発展してきた国々の中で、将来、高所得国になれるのか、中所得国のままのか、を見極めることが重要だ。
米国の貿易量の伸び(8月31日付「米国貯蓄率低下で消費改善が続こう」参照)を受けて、日本の貿易量も伸びてきた。
米国貯蓄率の低下が鮮明になり、リーマン・ショック後の水準からリーマン・ショック前の水準に戻りつつある。このことは、米国消費の正常化の一環といえる。
7月のアジア株式(日本を除く)は、米ドル・ベースの市場リターンが5.3%と、新興国を含むグローバル株式市場をアウトパフォームするとともに、7ヵ月連続のプラス・リターンとなった。年初来のリターンは29.4%となった。
7月の米国債利回りは、米国のインフレ指標の軟調さ、米FRB(連邦準備制度理事会)のハト派的な発言、ECB(欧州中央銀行)が秋に金融政策を方向転換する見通しを受けて、概ね横這いで推移した。
米国の貿易が活発化し始めている。2016年から輸出入の金額はともに回復しており、17年に入って安定している。ここで注目したいのは、16年後半の急速な回復だ。
技術を新たに活用する企業も生産性向上の恩恵を受ける立場にあり、よってそれら自身も投資機会を提供するものであることにも留意すべきだろう。
6月のアジア株式(日本を除く)は、米ドル・ベースの市場リターンが1.6%となった。年初来のリターンは22.8%と、新興国を含むグローバル株式市場を12%超アウトパフォームしている。
米国債利回りは、6月の大半においてレンジ内で推移したのち、月末の数日間で急上昇した。米FRB(連邦準備制度理事会)は、インフレ指標の軟調さにもかかわらず、政策金利を0.25%引き上げた。米国債10年物の利回りは2.30%で月を終え、前月末比で0.10%の上昇となった。
7月10日~14日に欧州を訪れ、金融政策や経済状況、改革への取り組みについて、中央銀行や政府担当者にヒアリングする機会を得た。
なぜ配当が重要なのか
米国では、予想を上回る雇用統計や景気に対してより有望なFOMC(連邦公開市場委員会)声明が経済の好材料と受け止められたものの、国政を巡る不透明感によって相殺された。
4月の米国債10年物の利回りは2.28%で月を終え、前月末比で0.11%の低下となった。当月は、強弱両様の経済指標や地政学情勢の緊張の高まりが市場センチメントを左右した。
ボラティリティは低すぎるのか、各市場にとってのリプライシングとは
3月の前半は、米FRB(連邦準備制度理事会)によるタカ派寄りの発言、堅調な米雇用統計、ECB(欧州中央銀行)によるQE(量的緩和)縮小の可能性を受けて、米国債利回りが上昇した。
課題が多くともESGを重視する理由
1月の米国債は当初、米雇用統計が予想を下回る内容となったことを受けて、市場で米FRB(連邦準備制度理事会)による2017年の利上げの予想を下方修正する動きが見られるなか、債券利回りは月末にかけて上昇した。
世界の経済、信用、金利サイクルは非同期化(desynchronised)しつつある。これは、ある市場ではスプレッドが拡大し、レバレッジが上昇していても、他の市場では逆の状態であったりすることを意味する。
12月の米国債は、前月の価格急落を受けて投資家の間で慎重姿勢が広がるなか、一段と値を下げた。米FRB(連邦準備制度理事会)は、大方の予想通り、政策金利を0.25%引き上げた。
米大統領選挙でのトランプ氏勝利を受け、新政権下での大規模な財政出動やインフレ上振れリスクの観測が強まるなか、11月は米国債利回りが急上昇した。
※本レポートは米大統領選前に作成されたものです。
10月の米国債は値を下げた。経済指標が改善したことや、公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録がタカ派的な内容となったことを受け、米国の12月利上げ観測が強まった。
9月の米国債は、まちまちの値動きとなった。米FRB(連邦準備制度理事会)が政策金利を据え置くなか、日銀は金融緩和へのコミットメントを強化したが、一方でECB(欧州中央銀行)が新たな緩和策に打って出なかったことが市場の失望を誘った。