11月の米国債市場は、様々な指標が景気減速を示唆する内容となったことや、タカ派とされる米FRB(連邦準備制度理事会)の理事が金融政策引き締めへの積極的な姿勢を後退させる可能性を示唆したことを受けて上昇した。月末の利回り水準は2年物の指標銘柄で前月末比0.407%低下の4.68%、10年物の指標銘柄で同0.604%低下の4.33%となった。
過去1年を振り返ってみると、投資の世界では2023年に関する予測の多くが外れることとなった。2023年の初めには、中国は政府の景気刺激策と経済活動の再開に支えられ、景気回復を迎えるように見受けられたが、そうとはならず、経済成長は期待外れに終始した。
金融規制当局は、過去の運用実績は将来の運用成果を示唆するものではないという文言を好む。しかし、私たち投資家はよく、この先の市場環境がどのようなものになり得るかのヒントを得るために過去に目を向ける。活かすことができるパターンや回避できる罠が存在する場合が多いからだ。しかし、2024年においては、過去に目を向けてもいつもの有用な知見が得られないかもしれない。
サステナブル債券ユニバースは規模と成熟度が増してきており、債券への分散投資ポートフォリオを構築する際に「ベスト・イン・ユニバース」のアプローチをとる投資家であれば、グローバル債券市場の新規発行額の約15%を占める同分野を検討しないわけにはいかないだろう。しかも、この割合は今後大幅に増加する見込みである。2
中国は、短期的にはネガティブな材料があるものの、先進製造業やテクノロジーへと軸足を転換しており、引き続き長期投資機会が豊富だとみている。他では、世界で最も有望な成長ストーリーの一部はインドやインドネシアで見出すことができ、また台湾や韓国は半導体産業の回復に伴う緩やかな需要拡大サイクルの恩恵を今後も享受するとみられる。
2023年の日本株は、TOPIXと日経平均株価が1990年以来の高値を付け、世界のほぼすべての株価指数をアウトパフォームして先進国のなかで羨望の的となるなど、非常に良好なパフォーマンスとなった。2024年は国内の様々な業界の再編が進むとともに長期的な改革措置の年になり、市場はグローバルな要因よりも日本固有の動向によって左右されると予想する。
世界経済は緩やかな成長を見せインフレは減速する公算が大きいが、以下に挙げるような数多くの要因からして、投資環境は追い風どころか確実・安定からもほど遠い状況になるだろう。したがって、特異な時代が続くなか、投資家は過去の経済・金融市場の回復における従来のモデル、特に1990年代半ば以降最もうまく機能してきたモデルに大きく依存すべきではない、と依然考えている。
2023年は世界的な金融引き締めと際立つドル高に注目が集まり、これらがアセアン諸国を含む大部分の新興国にとって大きな逆風要因となった。2024年の焦点は金利引き上げから成長、より具体的には世界経済が減速するなかで成長が見込まれる分野を見つけることに移るとみている。アセアン地域は、成長ストーリーが比較的良好であり政策環境がより緩和的であることから、相対的に好調に推移すると予想する。
2023年のシンガポール株式市場は、年初の予想よりも低調となった。しかし、2024年のシンガポール株式市場は、ポジティブなドライバーが増える可能性がある。当社では、シンガポール経済のテクノロジーおよびサービス・セクターの両方を有望視しており、外需は概して堅調さを増すとみている。
年初のコンセンサスでは2023年は米国債利回りが低下するとみられていたが、実際には利回りは上昇した。ベンチマークである米国債10年物利回りは、米国銀行危機の最中で経済困窮への懸念が高まっていた2023年4月の3.25%という低水準から、経済指標が米国経済の継続的な底堅さを示した10月末にかけては16年ぶりの高水準となる5.02%にまで上昇した。
読み始める前に、500mlのボトルの水を用意して、それを飲みながら読み進めてほしい。興味深いことに、これはChatGPTが消費する水の量と等しい。生成人工知能(AI)のチャットボットと対話するたびに、ChatGPTは(データセンターやサーバーなどを冷却するために)通常約500mlの水を「飲む」(消費する)。
ここ数週間の英国では嵐のような天候が続いたが、雨と風の合間に新鮮な空気を吸いに出かけるのはいいものだ。筆者の地元であるスコットランドのビーチでさえ、しばらくは人気のサーフィン・スポットになっている。サーフィンは、運動、アウトドア、そして特に悪天候との闘いからの完全な気分転換を兼ね備えた娯楽として、なぜか筆者には個人的にいつもとりわけ魅力的に映る。
アジア・クレジット市場においては、ファンダメンタルズや需給環境が引き続き追い風となっている。一方で、足元ではアジア投資適格債のスプレッドが史上最低水準近辺にあるなど、バリュエーションは厳しい状況にある。ネガティブなリスク要因は依然残っているが、多くの好材料が織り込まれている様子である。
中国株式市場にとって2023年は非常にボラティリティが高い年となり、年間リターンはマイナスとなった。2023年の序盤には、新型コロナウイルス大流行の収束を受けて中国経済の活動再開が急速に進むとの楽観論や大きな期待が広がるなか、中国株式市場のリターンが回復してより安定的かつ堅調に推移していくとの見方が優勢となった。
「高金利の長期化」シナリオを織り込む市場の調整は、株式と債券の下方相関性が強かった10月をピークに、流れが一巡した感がある。潜在成長率を上回る成長を続けている米国経済が企業収益を堅調に下支えしていることから、当社では「高金利の長期化」は株式にとって必ずしもマイナス材料ではないとの見方を維持している。
当月の米国債利回りは大きく変動し、経済指標が引き続き米国経済の底堅さを示したことを受けて、米国債10年物の利回りは16年ぶりの高水準となる5.02%へと上昇した。
アジア、そして世界の経済成長の牽引役は中国からアセアンとインドへ移行すると予想される。過去との違いは、インダストリアライゼーション(工業化)が家計所得の拡大を通じて消費成長を促し、それによって生まれる国内需要がさらに直接投資を呼び込むという好循環の確立である。
当月もリスクオフの環境が続いたが、当社では現在もアジアで多くのポジティブな材料を見出している。インドのマクロ環境は引き続き良好であり、中国の株式市場は過去20年で最も割安な水準付近にあるほか、半導体産業は底入れの兆しをみせている。米国の金利がピークを付けた可能性があり、これが今後のアジア株式市場にとって歓迎すべき環境になるかもしれない。
ジョージ・ソロスやジョン・ポールソンのような伝説的投資家には多くのエピソードがあるが、彼等をそれぞれ有名にしたのはたった 1つのトレードだったと言える。
インフレとは、一定期間にわたり経済全体においてモノやサービスの価格水準が上昇することであり、近年は消費者物価が記録的な高水準に達するなかで最も注視される経済指標の1つとなっている。
当社では長らくアセアンの株式市場を有望視しており、この地域は魅力的な展望を提供し続けていると考える。アセアンの成長と機会の背景にあるファンダメンタルズ面の原動力は必ずしも新しいものではないが、その活力溢れるトレンドに変わりはない。
景気減速が「そろそろ」やってくるとの一般的な見方に反して、米国経済は堅調な足取りを維持しており、債券利回りは景気の強さに応じて長期金利の再調整が必要という金融の現実を織り込み続けている。この調整は積極的かつ早急に進み、10月初旬にかけては節操のない展開になりつつあった。
9月の米国債市場は、利回りが上昇を続けるなかイールドカーブがスティープ化した。原油価格の上昇を受けてインフレが継続するとの懸念や高金利の長期化が、米国債市場低迷の主な要因となった。
日興アセットマネジメントでは、中国の低迷する経済と不調な不動産市場の全体像を把握するとともに、同国の様々な資産クラスへの見識を深めるべく、以下の債券・株式の専門家の見解をまとめた。
原油価格が1バレル=100ドルに迫り米国債利回りが16年ぶりの高水準に達するなかにあっては、投資家が発作的に守りの姿勢に入るのも無理はない。バリュエーションのばらつきは再び過去最高の水準に拡大しており、長期的な視点に立てば、アジア株式のリスク・リターン・バランスは魅力度を増していると考える。
今年はこれまでのところ、インドにとって重要な年となっている。3月、インドは第95回アカデミー賞において歌曲賞(アクション映画「RRR」)と短編ドキュメンタリー賞(「エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆」)の2部門で受賞するという快挙を成し遂げた。
米国債10年物利回りが2022年10月の最高水準である4.24%を超えて上昇するなど、市場は「高金利の長期化」を織り込みにいっており、グローバル株式を取り巻いていた熱いセンチメントは中立領域へと後退しつつある。
8月の米国債市場は、米国の経済成長が底堅く推移している兆しが強まったことや資金調達ニーズが高まっていること、格付け機関フィッチレーティングスが米国債の格付けを引き下げたことを受けて、月初に下落した。
域内の市場で中国の景気低迷に注目が集まるのは無理もないが、市場に広がっている懸念の影に隠れているものの、アジア地域には長期的に持続可能なリターンをもたらすポジティブな変化の機会が存在すると当社では考えている。中国が乗り越えなければならない問題は克服できないものではなく、システマティック・リスクや社会不安リスクにつながることはないだろう。
経済の車輪は前進を続けているが、これは、米FRB(連邦準備制度理事会)の翌日物金利誘導目標が2001年以来の高水準となる5.5%まで引き上げられていることを考えると、多くの人にとって予想外の状況と言えるだろう。
米FRB(連邦準備制度理事会)は、7月に開催した会合で0.25%の利上げを実施し、政策金利の誘導目標レンジを5.25~5.50%へと引き上げた。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.021%低下の4.88%、10年物の指標銘柄で同0.122%上昇の3.96%となった。
中国経済にデフレの兆候があるなか、このタイミングで同国政府が成長重視の指示を最近示したことは非常に歓迎すべき兆しだったと言える。こうした政策が実施されれば、構造的な変化につながり、消費者の景況感や中国経済の成長につながる可能性がある。
市場のポジショニングがよりポジティブな見通しへとシフトした一方で、マクロ経済の雰囲気は変わっていない。むしろ、株式市場への上昇圧力が根強く続いたことにより、投資家がベンチマークや同業者に大きく遅れを取らないよう株式エクスポージャーの再構築を余儀なくされた格好だ。
6月の米国債利回りは比較的狭いレンジで推移し、短中期部分がアンダーパフォームした。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.495%上昇の4.90%、10年物の指標銘柄で同0.193%上昇の3.84%となった。
アジアの大部分においてインフレ問題が落ち着くなか、利下げに動いた中国を除き域内の大方の中央銀行は足下で政策金利を据え置く一方、米国では経済指標が総じて多少軟化するなかでも依然として追加利上げが示唆されているが、当社ではそれ以上に中国の次の動きを懸念している。
最近、家族とともに行った2週間の中国旅行は、ある種の「帰郷」であった。飛行機、列車、自動車で(東洋の真珠と呼ばれる)上海、青島、合肥、銀川を巡り、外灘(バンド)として知られる絵のように美しいウォーターフロントの遊歩道で有名な上海へと戻った。
不動産投資信託(リート)とは、幅広い不動産セクターにわたり、インカム収入を生み出す不動産物件の所有や資金調達を行う上場法人である。投資家に分散投資効果をもたらすとともに不動産市場への直接投資に比べて必要投資額が小さいリートは、直接購入することなく不動産にアクセスできる素晴らしい手段となっている。
株価に反映された成長見通し格差は拡大し続けている。その背景として、テクノロジーやAI(人工知能)の発達という形での長期的な経済成長が市場全体の方向性を決定付ける材料として優勢な模様である。これは、テクノロジー・セクターが(そして理由は異なるが日本市場も)上昇する一方、他の大半のセクター・地域市場が月間で下落したことからも明らかだ。
機械学習の成長加速が始まるのに伴い、AIで先発優位性を有する大手テクノロジー企業やAIに特化したハードウェアおよびマイクロプロセッサのハイエンド・メーカー、なかでもアジアの企業が有利な立場にあると考える。
5月は米国債のイールドカーブが総じて上方にシフトし、月末の利回り水準は2年物の指標銘柄で前月末比0.397%上昇の4.41%、10年物の指標銘柄で同0.222%上昇の3.65%となった。
この27年間、筆者は毎日スコットランドのファイフとエジンバラのあいだを、地域の象徴となっているフォース橋を渡る小さな通勤電車で行き来している。この日課には馴染んだ心地よさがあり、これからの1日についてじっくり考えたり、帰路では慌ただしい資本市場への対応にまたもや追われた1日からの解放感に浸ったりすることができる。
先進諸国が引き続きインフレと経済成長の低迷に苦しむなか、アジアはインフレが十分に抑制されており、金融政策サイクルが欧米諸国に先駆けてピークを迎えているなど、その見通しの明るさが際立っている。
ヘルスケア・サービスや製品に対する需要に陰りはみられない。世界的に人口高齢化が進んでいる一方、糖尿病やがんなどの慢性疾患の発症リスクを抱える人が増加している。人々の寿命が延び、よりアクティブな人生を送っているなか、治療や予防のための保健サービスのニーズも高っている。
アジアの消費トレンドは、かつて欧米の影響を強く受けると考えられていたが、もはやそうではない。 アジアの消費者は多様な嗜好および影響力を持っており、世界のトレンドをただ吸収するのではなく、影響をおよぼし始めている。アジアのブランドは、この新しいパラダイムに良く対応できる状況にあると当社ではみている。
2022年初頭以降、インフレ・金利ショックから戦争・コモディティ・ショック、英国の年金危機、そして今回の米国の地方銀行危機に至るまで、市場を動かす重大な出来事が立て続けに発生してきた。こういった歴史的な出来事は、予想通り、市場センチメントと株価バリュエーションの重石となった。
4月の米国債利回りは比較的小幅なレンジで推移し、中期債がアウトパフォームした。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比約0.02%低下の4.01%、10年物の指標銘柄で同0.05%低下の3.43%となった。
労働力と経済成長が不足している世界において、これら両方を供給できるアジアはより長期的に非常に有利な立場にあるとみている。現在の米国主導の利上げサイクルが終わり、欧米のより脆弱な金融機関の経営不安が払拭されれば、アジアの見通しは明るいだろう。アジア市場は、現在バリュエーションが魅力的な水準にある。
アジアの銀行は、各国の利上げの規模が小さいこと、金融規制当局による慎重な舵取り、銀行の高い自己資本比率および総資産に占める有価証券投資比率の健全性を勘案すると、現在の世界的な銀行混乱に巻き込まれる可能性は低いと考えられる。このことは、長期的にはアジアの銀行界にとって好材料であり、魅力を高めるものと考えている。
3月半ばに米国で地方銀行が破綻して以来、続いてすぐにCredit Suisseが混乱に陥り結果的にUBSとの合併を余儀なくされるなど、市場の状況はかなり大きく変化してきた。政府が迅速かつ大規模な対応を見せる一方、中央銀行はある程度通常運行で金融引き締めに戻るメッセージを発しようとしたが、市場はそれを信じてはいないようだ。
現地通貨建てアジア債券は、インフレ減速を背景に域内各国の中央銀行が利上げサイクルを終了するのに伴い、好パフォーマンスが予想される。良好なファンダメンタルズ、質の高さを伴う利回り、低い外国人保有比率といった他の要素も、この債券資産クラスの追い風になると考える。