プラスチック汚染は、環境、生物多様性、そして人間の健康に長期的なダメージを与える、世界的に重大な問題である。人々の認識が高まり規制が強化されているものの、プラスチック廃棄物は増え続けている。待望の「国際プラスチック条約」は2024年末までに最終制定される見込みだが、これはライフサイクルを通じたプラスチック汚染対策としては世界的な法的拘束力を持つ初めての試みとなり、大きな期待が寄せられている。
2024年も過ぎようとしているなか、資産市場のパフォーマンスを中期的に予測することがいかに難しいかを改めて思い知らされている。2024年を迎えたとき、多くの識者は依然として債券市場にとって追い風となる米国の景気後退が訪れると考えていた。
トランプ大統領の1期目の任期中において、中国株式市場は米国株式市場(S&P500)だけでなく、チャイナ・プラス・ワンの恩恵を受けたとみられるいずれの国・地域の株式市場もアウトパフォームした。歴史が繰り返されることはないかもしれないが、トランプ氏の2期目の大統領任期中に、中国の国内政策や市場環境が大きな要素となることは明らかである。
当月は大半の資産クラスにとってマイナス・リターンの月となり、債券と株式はともに下落した。グローバル株式市場はMSCI Worldインデックスで2%強、米国株式はS&P500指数で0.99%の下落となったが、企業決算への反応は好悪混合で、例えば「マグニフィセント・セブン」(Apple、Microsoft、Alphabet、Amazon、Nvidia、Meta Platforms、Tesla)のなかでは、AlphabetとAmazonが上昇する一方、Microsoftは決算が上振れしながらもフォワード・ガイダンスがネガティブに受け止められたため下落した。
当月の米国債は大きな売り圧力に晒された。米国経済の堅調さを明確に示すデータ、複数の米FRB(連邦準備制度理事会)高官によるタカ派的な発言の強まり、米国大統領選挙におけるトランプ候補の再選観測が逆風となった。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.53%上昇の4.17%、10年物の指標銘柄で同0.50%上昇の4.29%となった。
11月7日に行われた米FOMC(連邦公開市場委員会)において全会一致で決定された金融政策は、0.25%の利下げと事前に十分示唆されていた通りの内容となり、ニュースと言える情報の大半が見出されたのは、その発表後に行われたパウエル米FRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見だった。
投資家は何十年にもわたり、米国株式市場のリターンから米国債利回りを差し引いた分(いわゆる株式のリスクプレミアム)の過去の水準が、過剰なリスク回避度を示唆しているように見受けられる現象に困惑してきた。しかし、それと並行して起きていた同じくらい不可解なはずの現象に注目してきた投資家はほとんどいない。
米国大統領選挙において共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が選挙人投票で決定的過半数を獲得した。また、共和党は上院の過半数議席も確保しており、本稿執筆時点では下院選挙の開票作業が続いている。市場はすでに反応してボラティリティが高まっており、株式市場では、法人税のさらなる引き下げ観測の高まりが好感されたほか、産業全般の規制緩和を好む傾向が企業収益にプラスに働くと受け止められている。
9月の株式市場は、前月と同じく軟調なスタートとなった後に上昇に転じて、世界の先進国株式市場の月間リターンは1.69%となった。8月に発表された米国の非農業部門雇用者数が低調な結果となるなか、月初は同指標の発表を控えて投資家のあいだで労働市場の状態に対する懸念が広がり、世界の株式市場は下落した。
グローバル株式チームが日興アセットマネジメントに加わり、日興AMグローバル株式戦略を立ち上げてから10年が経つが、その間に世界は大きく変わった。2014年当時、気候変動に関するパリ協定は署名されておらず、グローバリゼーションは台頭し、ドナルド・トランプ氏と言えばテレビ番組で人気が出た有名人として主に知られていた。
市場では、米FRB(連邦準備制度理事会)による追加利下げが予想されており、これがアジアの各中央銀行に利下げ余地をもたらし、国内の経済成長にとって大きな下支えとなる。また、中国のさらなる景気刺激策が見込まれるなか、国内外から中国株式への資産配分ペースが加速して、市場全体が押し上げられると予想する。
中国本土の経済は低迷している。若年層の失業率上昇を受けて国内消費が冷え込んでいる一方、家計資産は大部分が不動産に投資されており、不動産価格の下落に伴って大きく目減りしている。コロナ後は、マクロ経済の回復の遅れや欧米との間で続く貿易摩擦が原因となって企業収益が落ち込み、国内株式市場は劣勢に立たされている。
米FRB(連邦準備制度理事会)は、金融界が注目するなか数年ぶりとなる利下げを実施し、0.50%の大幅利下げを行った。これを受けて、米国債利回りは全般的に低下し、短期債利回りがより大幅に低下した。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.28%低下の3.64%、10年物の指標銘柄で同0.12%低下の3.78%となった。
9月26日にグローバル投資委員会(GIC)を開催した時点で、米国の経済成長は底堅くも幾分鈍化するという第2四半期での当委員会の見通しは現実のものとなっていた。しかし、米国のEPS(1株当たり利益)成長率については、(堅調ながらも鈍化するというGDP成長率の見通しに沿った)当委員会の予想は市場予想に比べて若干保守的なままであった。
9月18日、米FRB(連邦準備制度理事会)は大方の予想通り利下げを実施した。(市場の予想は割れていたが)事前に一部で予想されていた通り、FRBによる利下げ幅は50ベーシスポイント(bps)となった。実際、9月17日時点では今回の50bpsの利下げ幅のうち41bpsしかFF(フェデラル・ファンド)金利先物に織り込まれていなかった。
8月は序盤に市場のボラティリティが急激に高まったものの、最終的にグロース資産は概ね上昇し、世界の先進国株式市場の月間リターンは2.51%となった。月初には日本株式市場を筆頭として世界の株式市場が大幅に下落した。TOPIXは1日で12%下落し、日次の下げ幅としては1980年代以降で最大となった。
米国の労働市場が急速に軟化している兆しや米FRBがハト派的な兆候を示したことを受けて、8月の米国債利回りは一段と低下した。7月の米FOMC議事録では出席者の「大半」が金融緩和を行う準備が出来ているとの見方をしていることがさらに示された。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.34%低下の3.92%、10年物の指標銘柄で同0.13%低下の3.90%となった。
当社では、アジア市場の中期的なファンダメンタルズの最大の変化は金利環境のシフトだとみている。労働市場の指標低迷やインフレ指標の沈静化が続くなか、FRBは間もなく利下げを開始すると予想されており、これがアジアに大きな影響をもたらすとみている。
転換と変貌を遂げつつある世界において、まさに変わることのない唯一のものは変化である。しかし、変化は機会と脅威をともにもたらし得る。こうした変化に投資家としてどう対応するかが長期的な成功にとって極めて重要であることは明らかだ。
2024年11月の米国大統領選挙が近づくなか、ドナルド・トランプ氏が2期目を確保した場合に生じ得る不確実性と機会に焦点を当てながら、アジア株式の観点からみた世界の貿易、経済、地政学的な影響を探る。
株式市場は7月も続伸した。しかし、当月は好調なスタートを切ったものの、ボラティリティが高まる兆しも見られ始めるなか月末にはそれまでの上昇分がほぼ帳消しとなった。企業業績見通しは良好に推移し、米国内では大半の企業の業績が市場予想を上回った。
8月13日、グローバル投資委員会(GIC)は臨時会合を開き、最近の不安定な市場動向の影響や、強まりつつある米国の成長鈍化懸念について改めて精査した。GICによる結論は以下の通り。
インドは、アジアにおいて引き続き長期的な成長ストーリーがあり、新たな投資資金を引き付け続けている。一方、中国は投資家心理が好転するポジティブな材料を待っている状態であり、バリュエーションは割安な水準にある。
円安は日本の企業収益、国民総所得、経常黒字を押し上げ、日本経済の回復に重要な役割を果たしてきた。しかし、いずれ金融市場が方向転換する場合に備え、日本が円安の助けを借りずに景気回復を維持していく方法を考えるべき時期に来ているのかもしれない。
当月の米国債市場は、米FRB(連邦準備制度理事会)の今回の利下げサイクルにおける初回利下げが大幅に前倒しされるとの見方が市場で広がるなか、大きく上昇した。FRBが政策金利を据え置いたことを受けて、利回りは月末最終日に全般的に低下した。
世界の美容業界をより規模の小さい韓国企業が席巻するようになったのは周知の通りだ。1990年代に始まった「韓流」の波は、韓国の文化やエンタテイメントの世界的人気に火をつけた。今日、これには美容トレンドも含まれ、「Kビューティ」と呼ばれるスキンケア製品や化粧品で世界の美容トレンドを切り開いている。例えば「グラス・スキン」という言葉は美容意識の高い人々の間で世界的に定着しており、潤いと輝きに満ちた肌にするための10ステップのスキンケア法も広まっている。
中国については、ファンダメンタルズのポジティブな変化が実際に確認されてから選好度を引き上げる方針であり、非常に選別的なアプローチを維持している。アジア株式市場は、AI(人工知能)をめぐる熱狂状態やポジティブな構造改革などが相俟って、台湾、韓国、インドを中心に上昇した。
株式市場は上昇し、米国市場は大手テクノロジー企業の業績上振れと好調な見通しを受けて史上最高値を更新した。経済指標が軟化を見せインフレが下振れするなか、米FRB(連邦準備制度理事会)が早ければ9月にも利下げを行う可能性が高まったことも、市場センチメントを下支えした。米国の雇用統計も、失業率が2021年11月ぶりの水準に戻るなど、好材料となった。今では市場はFRBによる利下げを年内2回と予想しており、相場が難なく上昇できる環境が整っているようだ。リスク資産の方向性を左右するのは来たる決算シーズンとみられるが、11月に米国の選挙が控えていることから、今後数ヵ月は市場のボラティリティが高まると予想される。しかし、FRBは「ノーランディング」(景気が減速も後退もしない状態)シナリオを首尾よくやり遂げた模様であり、市場ではこれが歓迎されリスク資産の追い風となるだろう。
当月の米国債利回りは、複数の主要経済指標が市場予想を下回ったことを受けて、あらゆる年限で低下した。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.12%低下の4.76%、10年物の指標銘柄で同0.10%低下の4.40%となった。アジア域内の5月の総合インフレ率は、中国、マレーシア、タイ、シンガポール、フィリピンで加速する一方、インドネシア、インド、韓国でやや鈍化した。
最近、中国は世界のニュースの見出しに頻繁に登場するようになったが、その多くは特に明るい話題ではない。世界的な貿易障壁の高まり、銅からソーラーパネルに至るまでの中国産工業材料の余剰在庫増加、国内不動産市場の苦戦、消費者需要の鈍化などはいずれも中国株式市場の低迷要因となっている。
基本シナリオとして、大半の主要国でGDP成長率がプラスになるとみており、欧州を除く全地域でやや景気上振れのリスクがあると考える。この基本シナリオでは、米国と欧州でインフレが緩やかなディスインフレ傾向を伴いながらレンジ内で推移する一方、日本ではリフレが継続し、中国でもリフレが加速すると予想している。
中央銀行がインフレを抑制しながら世界的な景気減速を回避できる可能性が引き続き高まっているなか、市場は2024年に入って以降力強い上昇を続けている。米国ではインフレが市場予想を上回る水準にとどまっているが、個人消費と雇用に若干の軟化が見られるようになってきた。これを受けて金融引き締め環境の終焉が視野に入ってきており、米FRB(連邦準備制度理事会)は現在年内に1回の利下げを予想している。
欧米は景気サイクル後期にあり、バリュエーションが割高であるのに対して、アジアはサイクルの初期にあり、バリュエーションが割安となっている。このことは、世界の投資家に優れた分散の選択肢をもたらすだろう。
5月の米国債市場はボラティリティがやや高まった。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.162%低下の4.87%、10年物の指標銘柄で同0.181%低下の4.50%となった。アジア域内では、インフレ動向がまちまちとなった。また、マレーシア、インドネシア、韓国、フィリピンの各中央銀行は政策金利の据え置きを決定した。
日銀は6月の金融政策決定会合において大方の予想通り金利を据え置いたが、毎月の国債買い入れ減額にすぐ動くと見込んでいた市場参加者にとってはやや失望的な決定内容となった。そうした市場参加者のあいだでは買い入れ額が現在の6兆円から5兆~6兆円の範囲へ減額されると予想されていたことから、失望感が広がりドルが円に対して小幅に上昇した。
2024年のインド総選挙では、出口調査予測や市場予想に反して、ナレンドラ・モディ首相率いるインド人民党(BJP)が239議席しか確保できず、単独過半数に必要な272議席に届かなかった。前回の2019年選挙ではBJPが303議席を獲得していたことから、大幅に議席を減らしたことになる。
円安の進行を受けて、日本が世界における自国の購買力へのさらなる試練に対処できるかどうか、議論が高まっている。大半の購買力平価指標で見ると、米国で1ドルに相当する商品群は日本では100円未満となっており、ドル円レートは「公正価値」を示す当該尺度から大きく乖離している。
インフレの上振れにより米国で金利が近い将来引き下げられる可能性に疑問が投げかけられたため、市場ではボラティリティが再び高まっているようだ。米国が大幅な財政赤字を抱えながら好景気を維持しているなか、今や米FRB(連邦準備制度理事会)は市場が従来予想してきたほどの利下げを行えないものとみられる。こうなると、長期の米国債は多くのストラテジストが考えているほど魅力的ではない。
米FRB(連邦準備制度理事会)が緩和サイクルへの転換を先送りする可能性をめぐる懸念が強まるなか、4月は米国債が大幅に下落した。当月発表された経済指標に目を向けると、労働市場が堅調に推移したほか、インフレ率が市場予想を上回る結果となった。
市場環境はここ1ヵ月で大きく変化した。話題は米国の利下げから利上げの可能性へと変わり、中国株式市場は魅力的なバリュエーションと実効性のある政策実施期待が相まって大幅に上昇している。
11月に予定されている米国大統領選挙は長い影を落とし続けており、第45代大統領(ドナルド・トランプ氏)と第46代大統領(現職のジョー・バイデン氏)とのあいだで争いがヒートアップするにつれ、同国の分断は広がるばかりだ。このような二極化は投資の世界でも顕著で、特に厄介な論戦の的となっているのが、環境・社会・ガバナンス(ESG)報告に関する規制格差の拡大である。
大方の予想通り、日本銀行は政策金利の誘導目標を0-0.1%に据え置くことを全会一致で決定した。今回注目すべき変更点は、日銀が総合消費者物価指数(CPI)の見通しを前回時点の前年比2.4%から2.8%に上方修正したことである。
インフレの先行き不透明感はますます強まっており、米国債をはじめ先進国ソブリン債全般にとって不利な状況となっている。米国は非常に大きな財政赤字を抱えており、米FRB(連邦準備制度理事会)は、インフレ圧力が継続的な低下から上昇に転じる可能性が十分にあることから、今や利下げ時期の決定にあたって難しい立場に立たされている。
アジア全体の重大な焦点となっているのは、引き続き中国の経済および株式市場だ。中国の不動産セクターは、依然として脆弱である。しかし中国株式は、財政および資本市場の両方における追加支援策や市場期待の修正を受けて、2023年末から今年1月にかけて見られたパニック売りから回復している。
3月19日、日本銀行は他の先進国と同様に短期金利を主な政策手段とする従来の金融政策に戻った。ただし、金融市場は日本の構造的リフレへの道のりがまだまだ終わっていないことを認識している様子で、投資家は緩和的な金融政策環境が続く間はそれを最大限に利用していく用意があるようだ。
月初には主要中央銀行の声明などを受けて米国債利回りが大幅に低下した。発表された米国のインフレ指標が底堅さを示したことを受けて、ドットチャート(政策金利見通し)が上方修正されるかもしれないとの懸念が広がるなか、債券利回りは反転上昇した。その後公表された米FRB(連邦準備制度理事会)高官による最新の予測では、引き続き2024年内に3回の利下げを見込んでいることが示された。
スコットランドの中年男性(当チームのオフィスにも何人かいる)は悪意のないからかいの対象になりがちで、なかには言われてもしかたがないものもある。よく指摘される欠点の1つは、医者に診てもらうべきだという証拠が積み重なっているにもかかわらず、そうしようとはしないことだ。残念ながら、この「現実を直視しない」傾向は、向き合って対処していれば避けられたかもしれない悪い結果をもたらすことが多い。
日本銀行は3月19日に17年ぶりとなる利上げを実施したが、これに先立って発表された「メディア・リーク」がその役割を果たしたのは明らかで、マイナス金利政策、イールドカーブ・コントロール(YCC)およびETF購入の終了はことなく市場に消化された。
最近発表された日本の経済指標の1つに、私たちは目を見張った。3月4日に発表された2023年第4四半期の設備投資額は非常に堅調な結果となり、そのなかに日本経済の構造的な回復、日銀の言葉を借りればリフレの「好循環」の兆しの強まりを示す重要な点が見られた。
世界では製造業PMI(購買担当者景気指数)の好転が続き、韓国等の国々で輸出が回復するなど、製造業(在庫)のサイクルに弾みがつきつつあることが示唆されている。在庫補充の必要性は常であるものの、金融環境の緩和とリスク許容度の全般的な回復が発注の早期化を促進しており、これがサプライチェーンの再活性化に伴って自己増強される傾向にある。