マーケット・ビュー

 

孤立の日:トランプ関税が世界に及ぼす地政学的影響

2024年11月の米大統領選挙でドナルド・トランプが大勝したというニュースが流れると、多くの国や企業は貿易戦争の再発を覚悟した。しかし今回、この第47代アメリカ大統領は前の任期よりもさらに踏み込み、敵味方問わない全面的な関税を打ち出した。共和党が上下両院で過半数を占めたことで、トランプ大統領はほぼ歯止めの利かない権力を手にすることとなり、このような極端な政策につながった。

On the ground in Asia 2025年3月

当月に入ると、米国の関税政策に起因する世界的なマクロ経済の先行き不透明感の強まりを受けて、米国債利回りのボラティリティが高まった。月の後半には、米FRB(連邦準備制度理事会)が金融政策の据え置きを決定した。月末時点の米国債利回りの水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.11%低下の3.89%、10年物の指標銘柄で同横ばいの4.21%となった。

「ゆるい」業績の時代の終焉がストックピッカーに新たなチャンスをもたらす可能性

何十年もの間にわたってS&P500指数構成企業の利益率は拡大してきているが、その原動力となってきた要因は複数存在する。そうした要因のうちの2つで、あらゆるセクター、産業、企業規模にわたって何十年間も持続したものとして、前世紀後半から今世紀初頭にかけて金利と税率が着実に低下傾向を辿ってきたことが挙げられる。

ドナルド・トランプ米大統領は4月2日に「解放の日」を宣言し、当社や市場の予想を大幅に上回る関税を発表した。こうした関税の影響は、対米貿易黒字国が大部分を占めるアジアで特に顕著だった。アセアン諸国の多くと中国は30%を超える相互関税に直面するなど、特に大きな影響を受けた。

グローバル投資委員会による中期展望:レジームシフトでよりボラティリティの高い世界へ

市場のボラティリティの高い状況がニューノーマル(新常態)となる可能性がある。しかし、先行き不透明感の強まりや、企業や国・地域間における多様性の拡大を受けてチャンスが生まれてくるかもしれない。

米国の関税:一か八かの大勝負が始まる

4月2日、米国はすべての国からの輸入品に10%の共通基本関税を課し(4月5日開始)、約60ヵ国に対してはより厳しい関税(貿易黒字が大幅な国に対しては最大50%)を課すという相互関税政策を発表した。例えば、日本に対して発表された基本関税率は24%、対中国は(従来の20%に加えて)34%、対台湾は32%、対EU(欧州連合)は20%で、対ベトナムでは46%にも上った。

進展をみせるベトナム

我々はこの1週間、ホーチミン市で企業やアナリスト、政府関係者と対話したが、投資家のあいだでは慎重ながらも楽観的なムードが漂っていた。ベトナムは、輸出の低迷や債券市場の危機、重大な政変から持ち直して1年が経過し、転機を迎えている。目先の見通しは際立ったものには見えないかもしれないが、現在進められているより深い構造的シフトが、ベトナムを持続的かつ長期的な成長へと導く可能性がある。

Balancing Act 2025年3月

2月の資産市場は両悪入り混じったパフォーマンスを見せ、株式が売り込まれる一方で債券は上昇した。グローバル株式の月間リターンはマイナスに転じ、MSCI Worldインデックスで-0.81%となった。地域別のパフォーマンスはまちまちで、米国ではS&P500種指数が1.42%下落する一方、欧州ではユーロ・ストックス50指数が3.34%上昇した。

金利ある世界への回帰は日本にとって何を意味するのか

緩やかながらも着実に金融緩和の脱却を進めている日銀は、1 月に短期金利を 17 年ぶりの高水準となる 0.5%に引き上げた。日本経済が数十年にわたる停滞から回復の兆しを見せるなか、金利ある世界に戻ることが日本の家計や企業、政府にどのような影響をもたらすのかを分析してみる。

On the ground in Asia 2025年2月

2月序盤は、貿易戦争に関する脅威が再燃したことを受けて米国債利回りが上昇した。しかし、米国の経済指標が相次いで市場予想を下回り、エコノミストたちが第1四半期の経済成長予想を下方修正すると、市場では米FRB(連邦準備制度理事会)の年内利下げ回数の増加が織り込まれ、その結果、利回りは一転して低下した。

Harnessing Change 2025年2月

DeepSeekが中国市場に活気をもたらしており、中国のITセクターは、規制当局による大々的な取り締まりが始まって5年ほど経つなか、2025年に入ってから復活劇をみせている。さらに、追い風となる政策環境が続き、消費主導型経済への構造改革を促進する政策が今後もさらに実施されていくとみられるなか、中国の景気回復と成長が進む可能性は十分にある。

インドのヘルスケアセクターへの道

今朝、以前働いていたシンガポール中心部にあるビルの前を通った。2023年までは欧州系のグローバルな投資銀行がキーテナントとして入居していたはずだが今やその姿はなく、一方で1階の一区画に入居していた歯科医院は残っていた。医療産業は衰えることを知らない産業であり、世界中のあらゆる国の経済と密接につながっている。人の命が有限であり続ける限り、病気を処置していくための治療法が必要となる。

Balancing Act 2025年2月

1月は、前月に弱含んだ債券と株式がともに上昇するなど、ほとんどの資産クラスでリターンがプラスとなった。グローバル株式はMSCI Worldインデックスで月間リターンが3.4%と、年初の低調なスタートから一転して上昇に転じた。一方、グローバル債券は、ブルームバーグ・グローバル総合債券インデックスで月間リターン(米ドル・ベース)が0.6%となった。

Harnessing Change 2025年1月

1月はDeepSeekが世界で話題となった。この低コストAI(人工知能)モデルの登場を受けて、設備投資を見直す動きが広がる可能性がある。さらにDeepSeekの登場によって、よりコスト効率や拡張性の高い、アクセスしやすいAI環境へのシフトもみられ始めている。また、AIプロジェクトのネックとなっていた多額の設備投資を行うことなく、最先端のテクノロジーを取り入れることができる中国企業が増えていく機会がもたらされている。

On the ground in Asia 2025年1月

米国債市場は、供給圧力が大幅に高まり利回りが上昇するなか、2025年は低調な出だしとなった。その後、米国の2024年12月の総合CPI(消費者物価指数)上昇率が市場予想通りとなる一方、コアCPI上昇率が市場予想を若干下回ったことを受けて、米国債利回りは低下した。

DeepSeekはAIのパラダイム・シフトを起こしたか

少し前まで、AI(人工知能)という言葉はSF小説の世界でしか見られなかった。カルト映画の名作「ブレードランナー」の原作となったフィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」や、同名映画の製作につながったアイザック・アシモフの「われはロボット」といった作品で大きく取り上げられていた。

フューチャー・クオリティ・インサイト:コロナ禍の記憶と今も続く企業への影響

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行時に他の多くの家庭もそうだったように、我が家にも新しい住人が仲間入りした。ふわふわの子犬、名前は「ベンジー」だ(右写真)。長男が巣立つことになったので、恥知らずのようではあるがその代わりに犬を飼うことにした。家のどこにいても息子のジェイミーが私たちの後をついて回り、食べ物をねだっていたというわけではないが(少なくとも、いつもそうだったわけではないが)、彼が大学進学でいなくなったときに家中が静かになったと感じたが、コロナ禍を受けたロックダウン(都市封鎖)時にはその感覚がさらに強まった。

日銀に倣って漸進主義をとるFRB

米FRB(連邦準備制度理事会)は市場の予想通り、1月29日に政策金利を据え置いた。FOMC(連邦公開市場委員会)メンバーは、翌日物金利の誘導目標を4.25~4.5%に据え置くことを全会一致で決定した。しかし、パウエルFRB議長は、金利は依然「中立金利を大きく上回っている」と述べた。

貿易不安が広がるなか日銀は利上げ:AIの間接的なリスク低減効果に注目

日銀は1月24日に翌日物金利を0.25%引き上げた。これは予想通りの結果であり、金融市場は織り込み済みであった。今回の利上げによって無担保コールレートは0.50%と2008年以来の高水準に達した。また、2024年に日銀が金融政策引き締めに転換してから3回目の利上げとなり、合計利上げ幅は世界金融危機以降で最も大きいものとなっている。

Balancing Act 2025年1月

12月は大半の資産クラスでパフォーマンスが悪化し、前月好調だった債券と株式はともに下落した。グローバル株式市場は、月中に史上最高値を記録したもののその後調整に転じ、月間市場リターンがMSCI Worldインデックスで-2.3%となった。ブルームバーグ・グローバル総合債券インデックスのリターンも米ドル・ベースで-2.2%となった。

日本がアメリカの関税に対抗するには

米国の今後の政策、特に貿易相手国に課すかもしれない関税措置については、不透明な部分が多い。次期米政権の厳しい発言の矛先は特に中国に向けられている模様だが、中国は程度の差こそあれ日本など多くの国々の貿易相手国である。関税実施のスピード感や程度について、市場では気を揉む状況が続いているが、現時点では過去の関税措置の影響を検証しておくのが有益だろう。

Harnessing Change 2024年12月

トランプ次期大統領が新興国市場に与える影響について懸念はあるものの、過去のデータによると中国、韓国、台湾は最も貿易感応度の高い市場であるにもかかわらず、トランプ大統領の第1期の期間にS&P500種指数をアウトパフォームした。ここで得た教訓は、先入観を持たないこと、そしてトランプ氏の大言壮語よりも、大幅なファンダメンタルズの変化が起こり得るということだ。

On the ground in Asia 2024年12月

12月の米国債利回りは総じて上昇した。一方、米FRB(連邦準備制度理事会)が2025年の利下げはこれまで示唆していた回数よりも減少する可能性があることを示し、米ドルは上昇基調となった。FRBのガイダンスがタカ派的にシフトしたことに加えて、経済指標が好調となったことや2025年の利下げ見通しが変化したことを受けて、利回りは上昇した。

米国の財政・通商政策が不透明ななかFRBと日銀は様子見モード

12月18日の米FRB(連邦準備制度理事会)、その翌日の日銀による政策金利決定はいずれも市場予想通りの結果となった。FRBはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.25%引き下げて4.25~4.5%とし、日銀は無担保コール翌日物金利を0.25%に据え置いた。いずれの場合も主な焦点となったのは、これらの予想通りとみられる決定をめぐってどのようなメッセージが発信されるかであった。

Balancing Act 2024年12月

11月は大部分の資産クラスが好調に推移し、債券と株式がともに上昇した。米国大統領選挙で共和党候補が勝利したことを受けて株式市場が上昇し、グローバル株式市場(MSCIワールド・インデックス)は月間上昇率が4%を超えた。一方、グローバル債券市場(ブルームバーグ総合債券インデックス)は米ドル・ベースで1%超上昇した。

Harnessing Change 2024年11月

ドナルド・トランプ氏が米国大統領として復帰し2期目を迎えることになり、中国は圧力を感じている。しかし、トランプ前大統領の1期目に、中国株式は米国株式(S&P500指数)をアウトパフォームしており、外部圧力よりも国内政策が重要であることが示されている。

直近のグローバル投資委員会(GIC)は12月2日に開催された。この四半期を振り返ってみると、長期金利は当委員会が前四半期に予想した通り調整した。加えて、9月に米FRB(連邦準備制度理事会)が実施した金融緩和を受けて米国のイールドカーブに織り込まれてきた複数回の利下げは、市場で巻き戻されることになった。

アジア株式市場2025年の見通し

また1年が過ぎようとしているなか、再認識させられていることがある。それは、変化が進んでいることこそが唯一変わらない点であるということだ。それを受けて、ファンダメンタルズの変化、持続的なリターン、魅力的なバリュエーションが融合した最も有望な特徴を示す企業を特定する、という当社アジア株式チームの投資哲学への確信を一層強めている。

On the ground in Asia 2024年11月

11月は、米国債利回りが前月末比で低下し、米ドルは大半の通貨に対して上昇した。月初は、米国の大統領選挙で共和党が上下両院の多数派と大統領職を獲得して「トライフェクタ」が確実となるなか米国債は下落したが、ショートカバーが入ると、下落分の殆どを戻した。

アジア債券市場 2025年の見通し

2024年には、中国を除くアジア諸国は内需や輸出の好調に支えられて景気が底堅く推移した。比較的引き締め的な金融政策および食料品やコモディティ価格の上昇鈍化を受けてインフレが緩和されたおかげで、年の後半にはアジア域内の大半の中央銀行が利下げに動くことができた。

シンガポール株式市場2025年の見通し

2025年に近づくなか、シンガポール株式市場の2024年のパフォーマンスを振り返るのに適切な時期となった。2024年は、市場が力強いパフォーマンスを示し、STI(ストレーツ・タイムズ指数)の2024年11月末時点のトータル・リターンは21.7%となり、2桁の上昇を達成した(シンガポールドル・ベース)。

日本株式市場 2025年の見通し

我々は1年前、日本が2024年にデフレから脱却し、日本企業の再編や進化が進む時期が到来するという見通しを記した。株式市場の乱高下や政治の混迷もみられたものの、2024年は概ねこのシナリオ通りの展開となった。2025年は企業が戦略的に重要な決断を下していき、さらに多くの海外投資家を呼び込んでいくと予想する。

グローバル市場および経済2025年の見通し

2025年の米国経済は、財政出動が期待されるなか、プラス成長が続くとみられる。一方、インフレは依然として米FRB(連邦準備制度理事会)の目標を上回っており、米国債市場の混乱に伴うファットテールリスクが高まっている。

グローバル債券市場2025年の見通し

昨年の今頃、2024年はインド、メキシコ、南アフリカ、米国、英国など、世界各地で重要な選挙が行われる年になることは良く分かっていた。これらの選挙の多くでは、現職が政権を失ったほか、議席数で過半数を失ったり、有権者の大幅な支持を失ったりした。しかし、最も予想外の結果となったのは米国で、ドナルド・トランプ氏が勝利を収めた。

グローバル株式市場2025年の見通し

インフレの水準、経済成長の行方、消費者や企業部門の信用力、住宅市場、米国債の供給量、数々の選挙、地政学、さらには紛れもない株式市場のバブルなど、2024年における投資家の不安・懸念材料のリストは記憶にないほど長いものであった。2025年は投資環境が少しは良くなるだろうか。

プラスチック汚染の進行を抑えることはできるか

プラスチック汚染は、環境、生物多様性、そして人間の健康に長期的なダメージを与える、世界的に重大な問題である。人々の認識が高まり規制が強化されているものの、プラスチック廃棄物は増え続けている。待望の「国際プラスチック条約」は2024年末までに最終制定される見込みだが、これはライフサイクルを通じたプラスチック汚染対策としては世界的な法的拘束力を持つ初めての試みとなり、大きな期待が寄せられている。

グローバル・マルチアセット2025年の見通し

2024年も過ぎようとしているなか、資産市場のパフォーマンスを中期的に予測することがいかに難しいかを改めて思い知らされている。2024年を迎えたとき、多くの識者は依然として債券市場にとって追い風となる米国の景気後退が訪れると考えていた。

Harnessing Change 2024年10月

トランプ大統領の1期目の任期中において、中国株式市場は米国株式市場(S&P500)だけでなく、チャイナ・プラス・ワンの恩恵を受けたとみられるいずれの国・地域の株式市場もアウトパフォームした。歴史が繰り返されることはないかもしれないが、トランプ氏の2期目の大統領任期中に、中国の国内政策や市場環境が大きな要素となることは明らかである。

Balancing Act 2024年11月

当月は大半の資産クラスにとってマイナス・リターンの月となり、債券と株式はともに下落した。グローバル株式市場はMSCI Worldインデックスで2%強、米国株式はS&P500指数で0.99%の下落となったが、企業決算への反応は好悪混合で、例えば「マグニフィセント・セブン」(Apple、Microsoft、Alphabet、Amazon、Nvidia、Meta Platforms、Tesla)のなかでは、AlphabetとAmazonが上昇する一方、Microsoftは決算が上振れしながらもフォワード・ガイダンスがネガティブに受け止められたため下落した。

On the ground in Asia 2024年10月

当月の米国債は大きな売り圧力に晒された。米国経済の堅調さを明確に示すデータ、複数の米FRB(連邦準備制度理事会)高官によるタカ派的な発言の強まり、米国大統領選挙におけるトランプ候補の再選観測が逆風となった。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.53%上昇の4.17%、10年物の指標銘柄で同0.50%上昇の4.29%となった。

FOMC会合:不透明感がやや強まるなか、焦点は雇用、インフレおよびインフレ期待に

11月7日に行われた米FOMC(連邦公開市場委員会)において全会一致で決定された金融政策は、0.25%の利下げと事前に十分示唆されていた通りの内容となり、ニュースと言える情報の大半が見出されたのは、その発表後に行われたパウエル米FRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見だった。

日本のリスクプレミアムの重要な改善

投資家は何十年にもわたり、米国株式市場のリターンから米国債利回りを差し引いた分(いわゆる株式のリスクプレミアム)の過去の水準が、過剰なリスク回避度を示唆しているように見受けられる現象に困惑してきた。しかし、それと並行して起きていた同じくらい不可解なはずの現象に注目してきた投資家はほとんどいない。

トランプ氏当選を受けて財政政策とインフレリスクが焦点に

米国大統領選挙において共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が選挙人投票で決定的過半数を獲得した。また、共和党は上院の過半数議席も確保しており、本稿執筆時点では下院選挙の開票作業が続いている。市場はすでに反応してボラティリティが高まっており、株式市場では、法人税のさらなる引き下げ観測の高まりが好感されたほか、産業全般の規制緩和を好む傾向が企業収益にプラスに働くと受け止められている。

Balancing Act 2024年10月

9月の株式市場は、前月と同じく軟調なスタートとなった後に上昇に転じて、世界の先進国株式市場の月間リターンは1.69%となった。8月に発表された米国の非農業部門雇用者数が低調な結果となるなか、月初は同指標の発表を控えて投資家のあいだで労働市場の状態に対する懸念が広がり、世界の株式市場は下落した。

道なき道を進み続ける

グローバル株式チームが日興アセットマネジメントに加わり、日興AMグローバル株式戦略を立ち上げてから10年が経つが、その間に世界は大きく変わった。2014年当時、気候変動に関するパリ協定は署名されておらず、グローバリゼーションは台頭し、ドナルド・トランプ氏と言えばテレビ番組で人気が出た有名人として主に知られていた。

Harnessing Change 2024年9月

市場では、米FRB(連邦準備制度理事会)による追加利下げが予想されており、これがアジアの各中央銀行に利下げ余地をもたらし、国内の経済成長にとって大きな下支えとなる。また、中国のさらなる景気刺激策が見込まれるなか、国内外から中国株式への資産配分ペースが加速して、市場全体が押し上げられると予想する。

中国の景気刺激策は十分か?

中国本土の経済は低迷している。若年層の失業率上昇を受けて国内消費が冷え込んでいる一方、家計資産は大部分が不動産に投資されており、不動産価格の下落に伴って大きく目減りしている。コロナ後は、マクロ経済の回復の遅れや欧米との間で続く貿易摩擦が原因となって企業収益が落ち込み、国内株式市場は劣勢に立たされている。

On the ground in Asia 2024年9月

米FRB(連邦準備制度理事会)は、金融界が注目するなか数年ぶりとなる利下げを実施し、0.50%の大幅利下げを行った。これを受けて、米国債利回りは全般的に低下し、短期債利回りがより大幅に低下した。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.28%低下の3.64%、10年物の指標銘柄で同0.12%低下の3.78%となった。

グローバル投資委員会による中期展望:リスクはもはや低くない

9月26日にグローバル投資委員会(GIC)を開催した時点で、米国の経済成長は底堅くも幾分鈍化するという第2四半期での当委員会の見通しは現実のものとなっていた。しかし、米国のEPS(1株当たり利益)成長率については、(堅調ながらも鈍化するというGDP成長率の見通しに沿った)当委員会の予想は市場予想に比べて若干保守的なままであった。

FRB利下げが物語る現在の金融情勢

9月18日、米FRB(連邦準備制度理事会)は大方の予想通り利下げを実施した。(市場の予想は割れていたが)事前に一部で予想されていた通り、FRBによる利下げ幅は50ベーシスポイント(bps)となった。実際、9月17日時点では今回の50bpsの利下げ幅のうち41bpsしかFF(フェデラル・ファンド)金利先物に織り込まれていなかった。

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