米FRB(連邦準備制度理事会)は市場の予想通り、1月29日に政策金利を据え置いた。FOMC(連邦公開市場委員会)メンバーは、翌日物金利の誘導目標を4.25~4.5%に据え置くことを全会一致で決定した。しかし、パウエルFRB議長は、金利は依然「中立金利を大きく上回っている」と述べた。
日銀は1月24日に翌日物金利を0.25%引き上げた。これは予想通りの結果であり、金融市場は織り込み済みであった。今回の利上げによって無担保コールレートは0.50%と2008年以来の高水準に達した。また、2024年に日銀が金融政策引き締めに転換してから3回目の利上げとなり、合計利上げ幅は世界金融危機以降で最も大きいものとなっている。
12月は大半の資産クラスでパフォーマンスが悪化し、前月好調だった債券と株式はともに下落した。グローバル株式市場は、月中に史上最高値を記録したもののその後調整に転じ、月間市場リターンがMSCI Worldインデックスで-2.3%となった。ブルームバーグ・グローバル総合債券インデックスのリターンも米ドル・ベースで-2.2%となった。
米国の今後の政策、特に貿易相手国に課すかもしれない関税措置については、不透明な部分が多い。次期米政権の厳しい発言の矛先は特に中国に向けられている模様だが、中国は程度の差こそあれ日本など多くの国々の貿易相手国である。関税実施のスピード感や程度について、市場では気を揉む状況が続いているが、現時点では過去の関税措置の影響を検証しておくのが有益だろう。
トランプ次期大統領が新興国市場に与える影響について懸念はあるものの、過去のデータによると中国、韓国、台湾は最も貿易感応度の高い市場であるにもかかわらず、トランプ大統領の第1期の期間にS&P500種指数をアウトパフォームした。ここで得た教訓は、先入観を持たないこと、そしてトランプ氏の大言壮語よりも、大幅なファンダメンタルズの変化が起こり得るということだ。
12月の米国債利回りは総じて上昇した。一方、米FRB(連邦準備制度理事会)が2025年の利下げはこれまで示唆していた回数よりも減少する可能性があることを示し、米ドルは上昇基調となった。FRBのガイダンスがタカ派的にシフトしたことに加えて、経済指標が好調となったことや2025年の利下げ見通しが変化したことを受けて、利回りは上昇した。
12月18日の米FRB(連邦準備制度理事会)、その翌日の日銀による政策金利決定はいずれも市場予想通りの結果となった。FRBはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.25%引き下げて4.25~4.5%とし、日銀は無担保コール翌日物金利を0.25%に据え置いた。いずれの場合も主な焦点となったのは、これらの予想通りとみられる決定をめぐってどのようなメッセージが発信されるかであった。
11月は大部分の資産クラスが好調に推移し、債券と株式がともに上昇した。米国大統領選挙で共和党候補が勝利したことを受けて株式市場が上昇し、グローバル株式市場(MSCIワールド・インデックス)は月間上昇率が4%を超えた。一方、グローバル債券市場(ブルームバーグ総合債券インデックス)は米ドル・ベースで1%超上昇した。
ドナルド・トランプ氏が米国大統領として復帰し2期目を迎えることになり、中国は圧力を感じている。しかし、トランプ前大統領の1期目に、中国株式は米国株式(S&P500指数)をアウトパフォームしており、外部圧力よりも国内政策が重要であることが示されている。
直近のグローバル投資委員会(GIC)は12月2日に開催された。この四半期を振り返ってみると、長期金利は当委員会が前四半期に予想した通り調整した。加えて、9月に米FRB(連邦準備制度理事会)が実施した金融緩和を受けて米国のイールドカーブに織り込まれてきた複数回の利下げは、市場で巻き戻されることになった。
また1年が過ぎようとしているなか、再認識させられていることがある。それは、変化が進んでいることこそが唯一変わらない点であるということだ。それを受けて、ファンダメンタルズの変化、持続的なリターン、魅力的なバリュエーションが融合した最も有望な特徴を示す企業を特定する、という当社アジア株式チームの投資哲学への確信を一層強めている。
11月は、米国債利回りが前月末比で低下し、米ドルは大半の通貨に対して上昇した。月初は、米国の大統領選挙で共和党が上下両院の多数派と大統領職を獲得して「トライフェクタ」が確実となるなか米国債は下落したが、ショートカバーが入ると、下落分の殆どを戻した。
2024年には、中国を除くアジア諸国は内需や輸出の好調に支えられて景気が底堅く推移した。比較的引き締め的な金融政策および食料品やコモディティ価格の上昇鈍化を受けてインフレが緩和されたおかげで、年の後半にはアジア域内の大半の中央銀行が利下げに動くことができた。
2025年に近づくなか、シンガポール株式市場の2024年のパフォーマンスを振り返るのに適切な時期となった。2024年は、市場が力強いパフォーマンスを示し、STI(ストレーツ・タイムズ指数)の2024年11月末時点のトータル・リターンは21.7%となり、2桁の上昇を達成した(シンガポールドル・ベース)。
我々は1年前、日本が2024年にデフレから脱却し、日本企業の再編や進化が進む時期が到来するという見通しを記した。株式市場の乱高下や政治の混迷もみられたものの、2024年は概ねこのシナリオ通りの展開となった。2025年は企業が戦略的に重要な決断を下していき、さらに多くの海外投資家を呼び込んでいくと予想する。
2025年の米国経済は、財政出動が期待されるなか、プラス成長が続くとみられる。一方、インフレは依然として米FRB(連邦準備制度理事会)の目標を上回っており、米国債市場の混乱に伴うファットテールリスクが高まっている。
昨年の今頃、2024年はインド、メキシコ、南アフリカ、米国、英国など、世界各地で重要な選挙が行われる年になることは良く分かっていた。これらの選挙の多くでは、現職が政権を失ったほか、議席数で過半数を失ったり、有権者の大幅な支持を失ったりした。しかし、最も予想外の結果となったのは米国で、ドナルド・トランプ氏が勝利を収めた。
インフレの水準、経済成長の行方、消費者や企業部門の信用力、住宅市場、米国債の供給量、数々の選挙、地政学、さらには紛れもない株式市場のバブルなど、2024年における投資家の不安・懸念材料のリストは記憶にないほど長いものであった。2025年は投資環境が少しは良くなるだろうか。
プラスチック汚染は、環境、生物多様性、そして人間の健康に長期的なダメージを与える、世界的に重大な問題である。人々の認識が高まり規制が強化されているものの、プラスチック廃棄物は増え続けている。待望の「国際プラスチック条約」は2024年末までに最終制定される見込みだが、これはライフサイクルを通じたプラスチック汚染対策としては世界的な法的拘束力を持つ初めての試みとなり、大きな期待が寄せられている。
2024年も過ぎようとしているなか、資産市場のパフォーマンスを中期的に予測することがいかに難しいかを改めて思い知らされている。2024年を迎えたとき、多くの識者は依然として債券市場にとって追い風となる米国の景気後退が訪れると考えていた。
トランプ大統領の1期目の任期中において、中国株式市場は米国株式市場(S&P500)だけでなく、チャイナ・プラス・ワンの恩恵を受けたとみられるいずれの国・地域の株式市場もアウトパフォームした。歴史が繰り返されることはないかもしれないが、トランプ氏の2期目の大統領任期中に、中国の国内政策や市場環境が大きな要素となることは明らかである。
当月は大半の資産クラスにとってマイナス・リターンの月となり、債券と株式はともに下落した。グローバル株式市場はMSCI Worldインデックスで2%強、米国株式はS&P500指数で0.99%の下落となったが、企業決算への反応は好悪混合で、例えば「マグニフィセント・セブン」(Apple、Microsoft、Alphabet、Amazon、Nvidia、Meta Platforms、Tesla)のなかでは、AlphabetとAmazonが上昇する一方、Microsoftは決算が上振れしながらもフォワード・ガイダンスがネガティブに受け止められたため下落した。
当月の米国債は大きな売り圧力に晒された。米国経済の堅調さを明確に示すデータ、複数の米FRB(連邦準備制度理事会)高官によるタカ派的な発言の強まり、米国大統領選挙におけるトランプ候補の再選観測が逆風となった。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.53%上昇の4.17%、10年物の指標銘柄で同0.50%上昇の4.29%となった。
11月7日に行われた米FOMC(連邦公開市場委員会)において全会一致で決定された金融政策は、0.25%の利下げと事前に十分示唆されていた通りの内容となり、ニュースと言える情報の大半が見出されたのは、その発表後に行われたパウエル米FRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見だった。
投資家は何十年にもわたり、米国株式市場のリターンから米国債利回りを差し引いた分(いわゆる株式のリスクプレミアム)の過去の水準が、過剰なリスク回避度を示唆しているように見受けられる現象に困惑してきた。しかし、それと並行して起きていた同じくらい不可解なはずの現象に注目してきた投資家はほとんどいない。
米国大統領選挙において共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が選挙人投票で決定的過半数を獲得した。また、共和党は上院の過半数議席も確保しており、本稿執筆時点では下院選挙の開票作業が続いている。市場はすでに反応してボラティリティが高まっており、株式市場では、法人税のさらなる引き下げ観測の高まりが好感されたほか、産業全般の規制緩和を好む傾向が企業収益にプラスに働くと受け止められている。
9月の株式市場は、前月と同じく軟調なスタートとなった後に上昇に転じて、世界の先進国株式市場の月間リターンは1.69%となった。8月に発表された米国の非農業部門雇用者数が低調な結果となるなか、月初は同指標の発表を控えて投資家のあいだで労働市場の状態に対する懸念が広がり、世界の株式市場は下落した。
グローバル株式チームが日興アセットマネジメントに加わり、日興AMグローバル株式戦略を立ち上げてから10年が経つが、その間に世界は大きく変わった。2014年当時、気候変動に関するパリ協定は署名されておらず、グローバリゼーションは台頭し、ドナルド・トランプ氏と言えばテレビ番組で人気が出た有名人として主に知られていた。
市場では、米FRB(連邦準備制度理事会)による追加利下げが予想されており、これがアジアの各中央銀行に利下げ余地をもたらし、国内の経済成長にとって大きな下支えとなる。また、中国のさらなる景気刺激策が見込まれるなか、国内外から中国株式への資産配分ペースが加速して、市場全体が押し上げられると予想する。
中国本土の経済は低迷している。若年層の失業率上昇を受けて国内消費が冷え込んでいる一方、家計資産は大部分が不動産に投資されており、不動産価格の下落に伴って大きく目減りしている。コロナ後は、マクロ経済の回復の遅れや欧米との間で続く貿易摩擦が原因となって企業収益が落ち込み、国内株式市場は劣勢に立たされている。
米FRB(連邦準備制度理事会)は、金融界が注目するなか数年ぶりとなる利下げを実施し、0.50%の大幅利下げを行った。これを受けて、米国債利回りは全般的に低下し、短期債利回りがより大幅に低下した。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.28%低下の3.64%、10年物の指標銘柄で同0.12%低下の3.78%となった。
9月26日にグローバル投資委員会(GIC)を開催した時点で、米国の経済成長は底堅くも幾分鈍化するという第2四半期での当委員会の見通しは現実のものとなっていた。しかし、米国のEPS(1株当たり利益)成長率については、(堅調ながらも鈍化するというGDP成長率の見通しに沿った)当委員会の予想は市場予想に比べて若干保守的なままであった。
9月18日、米FRB(連邦準備制度理事会)は大方の予想通り利下げを実施した。(市場の予想は割れていたが)事前に一部で予想されていた通り、FRBによる利下げ幅は50ベーシスポイント(bps)となった。実際、9月17日時点では今回の50bpsの利下げ幅のうち41bpsしかFF(フェデラル・ファンド)金利先物に織り込まれていなかった。
8月は序盤に市場のボラティリティが急激に高まったものの、最終的にグロース資産は概ね上昇し、世界の先進国株式市場の月間リターンは2.51%となった。月初には日本株式市場を筆頭として世界の株式市場が大幅に下落した。TOPIXは1日で12%下落し、日次の下げ幅としては1980年代以降で最大となった。
米国の労働市場が急速に軟化している兆しや米FRBがハト派的な兆候を示したことを受けて、8月の米国債利回りは一段と低下した。7月の米FOMC議事録では出席者の「大半」が金融緩和を行う準備が出来ているとの見方をしていることがさらに示された。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.34%低下の3.92%、10年物の指標銘柄で同0.13%低下の3.90%となった。
当社では、アジア市場の中期的なファンダメンタルズの最大の変化は金利環境のシフトだとみている。労働市場の指標低迷やインフレ指標の沈静化が続くなか、FRBは間もなく利下げを開始すると予想されており、これがアジアに大きな影響をもたらすとみている。
転換と変貌を遂げつつある世界において、まさに変わることのない唯一のものは変化である。しかし、変化は機会と脅威をともにもたらし得る。こうした変化に投資家としてどう対応するかが長期的な成功にとって極めて重要であることは明らかだ。
2024年11月の米国大統領選挙が近づくなか、ドナルド・トランプ氏が2期目を確保した場合に生じ得る不確実性と機会に焦点を当てながら、アジア株式の観点からみた世界の貿易、経済、地政学的な影響を探る。
株式市場は7月も続伸した。しかし、当月は好調なスタートを切ったものの、ボラティリティが高まる兆しも見られ始めるなか月末にはそれまでの上昇分がほぼ帳消しとなった。企業業績見通しは良好に推移し、米国内では大半の企業の業績が市場予想を上回った。
8月13日、グローバル投資委員会(GIC)は臨時会合を開き、最近の不安定な市場動向の影響や、強まりつつある米国の成長鈍化懸念について改めて精査した。GICによる結論は以下の通り。
インドは、アジアにおいて引き続き長期的な成長ストーリーがあり、新たな投資資金を引き付け続けている。一方、中国は投資家心理が好転するポジティブな材料を待っている状態であり、バリュエーションは割安な水準にある。
円安は日本の企業収益、国民総所得、経常黒字を押し上げ、日本経済の回復に重要な役割を果たしてきた。しかし、いずれ金融市場が方向転換する場合に備え、日本が円安の助けを借りずに景気回復を維持していく方法を考えるべき時期に来ているのかもしれない。
当月の米国債市場は、米FRB(連邦準備制度理事会)の今回の利下げサイクルにおける初回利下げが大幅に前倒しされるとの見方が市場で広がるなか、大きく上昇した。FRBが政策金利を据え置いたことを受けて、利回りは月末最終日に全般的に低下した。
世界の美容業界をより規模の小さい韓国企業が席巻するようになったのは周知の通りだ。1990年代に始まった「韓流」の波は、韓国の文化やエンタテイメントの世界的人気に火をつけた。今日、これには美容トレンドも含まれ、「Kビューティ」と呼ばれるスキンケア製品や化粧品で世界の美容トレンドを切り開いている。例えば「グラス・スキン」という言葉は美容意識の高い人々の間で世界的に定着しており、潤いと輝きに満ちた肌にするための10ステップのスキンケア法も広まっている。
中国については、ファンダメンタルズのポジティブな変化が実際に確認されてから選好度を引き上げる方針であり、非常に選別的なアプローチを維持している。アジア株式市場は、AI(人工知能)をめぐる熱狂状態やポジティブな構造改革などが相俟って、台湾、韓国、インドを中心に上昇した。
株式市場は上昇し、米国市場は大手テクノロジー企業の業績上振れと好調な見通しを受けて史上最高値を更新した。経済指標が軟化を見せインフレが下振れするなか、米FRB(連邦準備制度理事会)が早ければ9月にも利下げを行う可能性が高まったことも、市場センチメントを下支えした。米国の雇用統計も、失業率が2021年11月ぶりの水準に戻るなど、好材料となった。今では市場はFRBによる利下げを年内2回と予想しており、相場が難なく上昇できる環境が整っているようだ。リスク資産の方向性を左右するのは来たる決算シーズンとみられるが、11月に米国の選挙が控えていることから、今後数ヵ月は市場のボラティリティが高まると予想される。しかし、FRBは「ノーランディング」(景気が減速も後退もしない状態)シナリオを首尾よくやり遂げた模様であり、市場ではこれが歓迎されリスク資産の追い風となるだろう。
当月の米国債利回りは、複数の主要経済指標が市場予想を下回ったことを受けて、あらゆる年限で低下した。月末の利回り水準は、2年物の指標銘柄で前月末比0.12%低下の4.76%、10年物の指標銘柄で同0.10%低下の4.40%となった。アジア域内の5月の総合インフレ率は、中国、マレーシア、タイ、シンガポール、フィリピンで加速する一方、インドネシア、インド、韓国でやや鈍化した。
最近、中国は世界のニュースの見出しに頻繁に登場するようになったが、その多くは特に明るい話題ではない。世界的な貿易障壁の高まり、銅からソーラーパネルに至るまでの中国産工業材料の余剰在庫増加、国内不動産市場の苦戦、消費者需要の鈍化などはいずれも中国株式市場の低迷要因となっている。
基本シナリオとして、大半の主要国でGDP成長率がプラスになるとみており、欧州を除く全地域でやや景気上振れのリスクがあると考える。この基本シナリオでは、米国と欧州でインフレが緩やかなディスインフレ傾向を伴いながらレンジ内で推移する一方、日本ではリフレが継続し、中国でもリフレが加速すると予想している。
中央銀行がインフレを抑制しながら世界的な景気減速を回避できる可能性が引き続き高まっているなか、市場は2024年に入って以降力強い上昇を続けている。米国ではインフレが市場予想を上回る水準にとどまっているが、個人消費と雇用に若干の軟化が見られるようになってきた。これを受けて金融引き締め環境の終焉が視野に入ってきており、米FRB(連邦準備制度理事会)は現在年内に1回の利下げを予想している。